文豪ストレイドッグス
エピソード
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人生万事塞翁が虎
孤児院を追い出され、ヨコハマの街を彷徨っていた中島敦。このまま野垂れ死ぬか? いや、何をしても生き延びてやる――。盗っ人やむなしと決意した矢先、川を流されていく奇妙な男と遭遇する。どこか飄々とした自殺マニアの名は、太宰治。噂に聞く異能力集団「武装探偵社」の社員だった。太宰が同僚の国木田独歩とともに「人喰い虎」を探していると知った敦は震え上がる。その虎こそ、すべてを失った元凶だったのだ。だが、彼らは仕事を手伝うよう求め……。
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或る爆弾
「武装探偵社」に入社した敦だが「異能を制御できない自分では役に立たない」と、および腰であった。太宰は、そんな敦にもできる仕事を斡旋すると言って、どこかへ連れ出す。だがそこへ、国木田が知らせた緊急事態。探偵社に急行した敦たちが見たものは、か弱き事務員の少女を人質に「社長を出せ!」と声を荒げる爆弾魔の姿だった。探偵社への怨恨か?唯一、犯人に顔が割れていない敦は、通りすがりの新聞配達員を装い必死に説得を試みる。
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ヨコハマ ギャングスタア パラダヰス
入社試験に合格し、晴れて武装探偵社の一員となった敦。探偵修行の一環だという先輩の前職当てゲームに挑戦するも、太宰の正解を知る者はなかった。そこへ、新たな仕事の依頼が――。スーツ姿の若い女は、会社のビルヂングの裏手にたむろする輩たちを追い払うため、彼らが密輸業者であるという証拠を掴んで欲しいと話す。谷崎とナオミと共に、ただ見張るだけの簡単な初仕事へと向かう敦だったが……。
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運命論者の悲み
太宰に助けられ、辛くも芥川の手から逃れられた敦だが、70億もの賞金首となった己のせいで仲間が巻き添えになったことを知り、自責の念にかられるのだった。国木田もまた「最悪の事態」を恐れ、いつになく動揺をあらわにする。お世話になった人たちに、これ以上迷惑を掛けられない――。探偵社から出て行くことを決意した敦は、偽の依頼人だったポートマフィアの樋口に電話を掛ける。
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Murder on D Street
ポートマフィアの武闘派「黒蜥蜴」の襲撃を受けながらも、あっさり撃退してしまった武装探偵社。国木田が「最悪の事態」と恐れた通り、社員たちは散らかった事務所の後片付けに追われていた。そんな中、乱歩の仕事現場に付き添うことを命じられた敦。だが、電車の乗り方すら知らない世間知らずな「名探偵」を、少々いぶかしく思う。事件現場で待ち受けていた箕浦刑事と、その部下とされる女性の遺体を前に乱歩は「一分以内に解決できる」と豪語するが……。
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蒼の使徒
ヨコハマを訪れた旅行客の連続失踪事件が発生し、武装探偵社に被害者の居所を知らせるタレコミが寄せられる。国木田は、非合法のハッカーである田口六臓に情報源を探らせるが、見つかったのは、被害者の写真と「蒼の使徒」という謎の言葉のみであった。偶然にも11人の被害者のうち2人を目撃したという運転手兼情報屋のタクシーを呼び、敦たちは目的地へと向かう。太宰と国木田のコンビが相変わらず不毛なやりとりを繰り広げる中、着いたのは怪しげな廃病院で――。
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理想という病を愛す
「蒼の使徒」からの大規模な市街地爆破予告。爆弾を解除せねば、武装探偵社は連続失踪事件に続き多数の死者を出し、同時に、さらなる醜聞の炎に包まれるであろう。そんな社の存続とプライドを掛けた戦いのさなか、太宰はといえば、先の廃病院から唯一救出の叶った佐々城信子にご執心の様子。大学で社会心理学を教えている信子は、今回の事件が「蒼き王」に関連しているのではないかと言う。それは、かつて国木田によって追い詰められた末に自爆したテロリストであった。
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人を殺して死ねよとて
太宰が行方不明になるが、武装探偵社の社員たちは「いつものこと」と気にも留めない。そんな中、敦は与謝野晶子の買い物に付き合うことになる。しかし、マフィアとは、いつどこで襲ってくるとも知れぬもの。「ただいまより、ささやかな物理学実験を行います」――。列車に鳴り響く謎のアナウンスが、乗客たちを恐怖に陥れた。卑劣なる声の主は、狂気の爆弾魔・梶井基次郎。敦は、車内に仕掛けられた爆弾を探して走りだす。そこへ、一人の少女があらわれ……。
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うつくしき人は寂として石像の如く
異能力を利用され、暗殺者に仕立てられた少女・泉鏡花。黒幕を明かす代わりに、好物の高級湯豆腐を願う様はあどけない。その生い立ちを聞き、敦は一層の同情を寄せるのだった。だが、国木田は問う。彼女が背負うすべてを引き受ける覚悟があるのか、と。どうしても軍警に引き渡すことができないまま、敦は鏡花とヨコハマの街を「デート」する。その頃、行方不明の太宰はポートマフィアの監獄に繋がれていた。芥川は、裏切り者の「元上司」を罵る。
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羅生門と虎
太宰は、監獄にあらわれた「元相棒」中原中也と一戦を交える。中也が疑念を抱いた通り、太宰が容易く捕まったのは、敦に巨額の懸賞金を掛けた依頼主を探るためだった。しかし、すでに敦はポートマフィアの手中だ。自分に向けられた芥川の激しい憎悪を感じながら、密輸船で引き渡しの地へと運ばれていく敦。そんな敦を救おうと、鏡花が自らを犠牲として芥川に立ち向かう。駆けつけた国木田は、鏡花を残して逃げるよう言い聞かせるのだが……。
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其の一 彼女には向かない職業/其の二 有頂天探偵社
死の重傷を負い、意識不明のまま眠る芥川。敦の誘拐に失敗したばかりか、作戦の途中で壊滅させた組織の残党が復讐に動き出した今、“先輩”芥川を守れるのは樋口だけだった。「私は、この仕事に向いていない――。」痛いほど思い知りながら、それでも彼女は己の信じる道を選ぶ。一方、武装探偵社では、敦が宮沢賢治の担当する事件現場へ同行していた。聞き込み調査を行う二人。敦は、持ち前の朗らかさで街の人たちと接する賢治に感心するが……。
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たえまなく過去へ押し戻されながら
敦に懸賞金を掛けた黒幕は、「ギルド」と呼ばれる北米異能力者集団のリーダーだった。先手を打たんとばかりに武装探偵社を来訪したフランシスは、お詫びの商談と称して「異能開業許可証」の買収を持ち掛けるが、理想高き福沢がこれを一蹴。しかし、彼らは一夜にして7階立てのビルを消滅させ、無言の警告を行う。さらに、行方不明となった賢治に続き、ナオミも街中で姿を消し……。敦は、人質となった仲間を救うべく、ルーシーの異能力空間に挑む。
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回向(ECHO)
トロッコで逃げるプシュキンを追う敦と芥川。その前に手ごわい異能力者が現れる。その頃、太宰たちはフョードルを見つけるべく、捜索を続けていた。
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共喰い(其の三)
花袋が残した映像を観て、ある事実に気づく国木田。一方、若い頃と同じように対立する福沢と鴎外だが、そんな2人の前に驚くべき人物が姿を見せる。
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共喰い(其の二)
ポートマフィアとの戦いに加わるか否か、社員たちに選択を迫る乱歩。国木田と敦は、黒幕の居場所をつかんでいるかもしれない花袋のもとを訪ねる。
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共喰い(其の一)
福沢と鴎外に"共喰い"のウイルスが仕掛けられた。犯人の異能力者を捕まえるため、隠れ家に踏み込んだ国木田と敦は、思わぬ相手に行く手を阻まれる。
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仮面ノ暗殺者
武術の達人である福沢諭吉をはじめ、異能者ばかりを狙う事件が発生。そんな事態をポートマフィアが見逃すはずもなく、すぐに犯人を追い詰めるが...。
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フィッツジェラルド・ライジング
内気な少女・ルイーザが訪れたのは、危険な貧民街。ようやく組合(ギルド)のボス・フランシスを見つけ出したものの、彼は絶望に打ちひしがれていた。
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其の一「ヘルリス!」 其の二「父の肖像」
喫茶・うずまきで働くルーシー。彼女は敦への復しゅうのために働き始めたと話す。/乱歩から仕事を押し付けられた敦は、被害者の身元を知って驚く。
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Slap the Stick & Addict
憩いの場である喫茶店・うずまきが何者かに襲撃され、武装探偵社の面々は怒り心頭。一方、国木田は凄腕の情報屋・田山花袋のもとを訪ねるが...。
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咎与うるは神の業
ギルドを出し抜いた盗賊団"死の家の鼠"の頭目・フョードル。ポートマフィアの幹部のひとりであるA(エース)は、彼に一緒に手を組もうと提案する。
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ダイヤはダイヤでしか
アラハバキの謎を追ううちに、蘭堂にたどり着いた中也と太宰。しかし中也は蘭堂の異能に翻弄され、太宰の前には死んだはずの先代ボスが立ちはだかる。
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荒神は今
森派の構成員・蘭堂のもとを訪れるも、ポートマフィアと対立するGSSの襲撃に遭う中也と太宰。蘭堂は2人に、アラハバキと遭遇した際のことを話す。
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太宰、中也、十五歳
ポートマフィアのボス・森鴎外から"先代ボス"が現れたというウワサの調査を依頼された太宰治。彼は敵対する"羊"のリーダー・中原中也に襲われる。
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独り歩む
手帳にぎっしりと書かれた予定を、完璧にこなそうと意気込む国木田。ホームでカバンを受け取る少女を目にしたことから、思わぬ展開に巻き込まれる。
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若し今日この荷物を降ろして善いのなら
己のすべてを賭したフランシス・Fの野望を、敦と芥川の協力による一撃が打ち破る。だが安堵したのもつかの間、何者かにより再び白鯨が地上へと迫る。
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羅生門と虎と最後の大君 (たいくん)
白鯨の制御端末を探す敦の前に立ちふさがったのは芥川だった。太宰の指示でどうにか逃げおおせる敦だったが、その先で端末を守っていたのは...。
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其の一『ポオと乱歩』 其の二『天(あま)の海をゆく白鯨のありて』
乱歩のもとに届いた「推理ゲームへの誘い」。それは、6年前に敗れた雪辱を果たすべく組合 (ギルド) の遠征船に同乗してきたというポオからの挑戦状だった。勝てば「組合 (ギルド) の弱点」を教えるという条件で、乱歩は与謝野とともに勝負を受ける。また太宰は、軍警に捕縛された鏡花を救出するため入院中の安吾を見舞う。そして、敦を白鯨 (モビー・ディック) に単独潜入させる作戦に出た探偵社であったが…。
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双(ふた)つの黒
探偵社とポートマフィアの共闘。そんな敦の荒唐無稽な提案が、両組織のトップを密談の場へと動かす。だが、鴎外が一時停戦の求めを呑むことはなかった。福沢は牽制する「今夜だけは邪魔をするな」と。その夜、Qの奪還に向かった太宰を待ち受けていたのは、組合 (ギルド) の罠、そして…。太宰と中也。一夜限りの復活を果たす、黒社会最悪と謳われた「双黒」コンビ。それこそが、鴎外の最適解だったのだ。かくして対組合 (ギルド) 共同戦線、反撃の狼煙が上がる――!
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頭は間違うことがあっても
敦を連れ去ろうとするフランシス・Fの前に、立ちふさがる鏡花。だが、ギルドのルイーザ・Aの作戦に抜かりはなく、敦は空に浮かぶ要塞に拉致される。
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ウィル・オブ・タイクーン
避難していたナオミと春野の誘拐に乗り出す、ギルドのジョン・Sとラヴクラフト。一方、ナオミらを護衛するため、駅で待っていた敦と太宰だが...。
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The strategy of conflict
ギルドが拠点とする豪華客船を守るマーガレット・Mとナサニエル・H。そこへ森鴎外からの手紙が舞い込み、さらに不審な男・梶井基次郎が拘束される。
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三社鼎立 (ていりつ)
人を殺めずに生きられる道を信じ、武装探偵社での初仕事に臨む鏡花だったが、お遣い先で一騒動起こしてしまう。うなだれる鏡花を励ます、敦。そのとき、もはや鳴らないはずの携帯電話から何者かが「夜叉白雪」に命令し、敦を斬りつけた。声の主は、ポートマフィアの幹部・尾崎紅葉。可愛がっている鏡花を連れ戻しにきたのだ。国木田たちが救援に駆けつけ、武装探偵社とポートマフィアは睨み合う。だがそこへ、組合 (ギルド) の異能力者たちがあらわれ…。
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文豪ストレイドッグ
安吾の仲介により、ポートマフィアの首領・森鴎外と内務省異能特務課の最高指揮官・種田山頭火長官の会合が行われた。太宰は、ミミック襲来に始まる三組織の抗争に隠された思惑へと辿り着こうとしていた。だが、子供たちを惨殺され夢を失った織田作は彼の説得に耳を貸すことなく、たった一人で敵陣へと乗り込む。宿命の時を迎えた、織田作とジイド。同じ未来予測の異能力を持つ2人の戦いは、やがて奇妙な現象を引き起こしていく…。
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いつか海の見える部屋で
芥川を圧倒するミミックの首領・ジイドは、助けに入った織田作に予言じみた言葉を告げる。そしていつものバーを訪れた太宰たちの前に安吾が姿を現す。
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戻れない場所
安吾の足跡を求め、織田作は彼と初めて出会った施設へと向かう。一方、ミミック兵を生け捕りにすべく仕掛けた罠の成果を確認しに行く太宰だが...。
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黒の時代
霧深き夜――。織田作之助がバー「ルパン」へ赴くと、先客の太宰治がいた。そこへ、密輸品の買い付け帰りの坂口安吾も合流。悪名高い「ポートマフィア」に属する男たちの、いつもの夜だった。だが、その日を最後に安吾が消息を絶つ。時を同じくして、暗証番号で守られた最高保管庫のひとつが「ミミック」なる組織に襲撃される。ボス・森鴎外から直々の指令を受けた織田作は、安吾捜索に乗り出すが…。
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人生万事塞翁が虎
孤児院を追い出され、ヨコハマの街を彷徨っていた中島敦。このまま野垂れ死ぬか? いや、何をしても生き延びてやる――。盗っ人やむなしと決意した矢先、川を流されていく奇妙な男と遭遇する。どこか飄々とした自殺マニアの名は、太宰治。噂に聞く異能力集団「武装探偵社」の社員だった。太宰が同僚の国木田独歩とともに「人喰い虎」を探していると知った敦は震え上がる。その虎こそ、すべてを失った元凶だったのだ。だが、彼らは仕事を手伝うよう求め……。
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或る爆弾
「武装探偵社」に入社した敦だが「異能を制御できない自分では役に立たない」と、および腰であった。太宰は、そんな敦にもできる仕事を斡旋すると言って、どこかへ連れ出す。だがそこへ、国木田が知らせた緊急事態。探偵社に急行した敦たちが見たものは、か弱き事務員の少女を人質に「社長を出せ!」と声を荒げる爆弾魔の姿だった。探偵社への怨恨か?唯一、犯人に顔が割れていない敦は、通りすがりの新聞配達員を装い必死に説得を試みる。
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ヨコハマ ギャングスタア パラダヰス
入社試験に合格し、晴れて武装探偵社の一員となった敦。探偵修行の一環だという先輩の前職当てゲームに挑戦するも、太宰の正解を知る者はなかった。そこへ、新たな仕事の依頼が――。スーツ姿の若い女は、会社のビルヂングの裏手にたむろする輩たちを追い払うため、彼らが密輸業者であるという証拠を掴んで欲しいと話す。谷崎とナオミと共に、ただ見張るだけの簡単な初仕事へと向かう敦だったが……。
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運命論者の悲み
太宰に助けられ、辛くも芥川の手から逃れられた敦だが、70億もの賞金首となった己のせいで仲間が巻き添えになったことを知り、自責の念にかられるのだった。国木田もまた「最悪の事態」を恐れ、いつになく動揺をあらわにする。お世話になった人たちに、これ以上迷惑を掛けられない――。探偵社から出て行くことを決意した敦は、偽の依頼人だったポートマフィアの樋口に電話を掛ける。
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Murder on D Street
ポートマフィアの武闘派「黒蜥蜴」の襲撃を受けながらも、あっさり撃退してしまった武装探偵社。国木田が「最悪の事態」と恐れた通り、社員たちは散らかった事務所の後片付けに追われていた。そんな中、乱歩の仕事現場に付き添うことを命じられた敦。だが、電車の乗り方すら知らない世間知らずな「名探偵」を、少々いぶかしく思う。事件現場で待ち受けていた箕浦刑事と、その部下とされる女性の遺体を前に乱歩は「一分以内に解決できる」と豪語するが……。
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蒼の使徒
ヨコハマを訪れた旅行客の連続失踪事件が発生し、武装探偵社に被害者の居所を知らせるタレコミが寄せられる。国木田は、非合法のハッカーである田口六臓に情報源を探らせるが、見つかったのは、被害者の写真と「蒼の使徒」という謎の言葉のみであった。偶然にも11人の被害者のうち2人を目撃したという運転手兼情報屋のタクシーを呼び、敦たちは目的地へと向かう。太宰と国木田のコンビが相変わらず不毛なやりとりを繰り広げる中、着いたのは怪しげな廃病院で――。
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理想という病を愛す
「蒼の使徒」からの大規模な市街地爆破予告。爆弾を解除せねば、武装探偵社は連続失踪事件に続き多数の死者を出し、同時に、さらなる醜聞の炎に包まれるであろう。そんな社の存続とプライドを掛けた戦いのさなか、太宰はといえば、先の廃病院から唯一救出の叶った佐々城信子にご執心の様子。大学で社会心理学を教えている信子は、今回の事件が「蒼き王」に関連しているのではないかと言う。それは、かつて国木田によって追い詰められた末に自爆したテロリストであった。
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人を殺して死ねよとて
太宰が行方不明になるが、武装探偵社の社員たちは「いつものこと」と気にも留めない。そんな中、敦は与謝野晶子の買い物に付き合うことになる。しかし、マフィアとは、いつどこで襲ってくるとも知れぬもの。「ただいまより、ささやかな物理学実験を行います」――。列車に鳴り響く謎のアナウンスが、乗客たちを恐怖に陥れた。卑劣なる声の主は、狂気の爆弾魔・梶井基次郎。敦は、車内に仕掛けられた爆弾を探して走りだす。そこへ、一人の少女があらわれ……。
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うつくしき人は寂として石像の如く
異能力を利用され、暗殺者に仕立てられた少女・泉鏡花。黒幕を明かす代わりに、好物の高級湯豆腐を願う様はあどけない。その生い立ちを聞き、敦は一層の同情を寄せるのだった。だが、国木田は問う。彼女が背負うすべてを引き受ける覚悟があるのか、と。どうしても軍警に引き渡すことができないまま、敦は鏡花とヨコハマの街を「デート」する。その頃、行方不明の太宰はポートマフィアの監獄に繋がれていた。芥川は、裏切り者の「元上司」を罵る。
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羅生門と虎
太宰は、監獄にあらわれた「元相棒」中原中也と一戦を交える。中也が疑念を抱いた通り、太宰が容易く捕まったのは、敦に巨額の懸賞金を掛けた依頼主を探るためだった。しかし、すでに敦はポートマフィアの手中だ。自分に向けられた芥川の激しい憎悪を感じながら、密輸船で引き渡しの地へと運ばれていく敦。そんな敦を救おうと、鏡花が自らを犠牲として芥川に立ち向かう。駆けつけた国木田は、鏡花を残して逃げるよう言い聞かせるのだが……。
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其の一 彼女には向かない職業/其の二 有頂天探偵社
死の重傷を負い、意識不明のまま眠る芥川。敦の誘拐に失敗したばかりか、作戦の途中で壊滅させた組織の残党が復讐に動き出した今、“先輩”芥川を守れるのは樋口だけだった。「私は、この仕事に向いていない――。」痛いほど思い知りながら、それでも彼女は己の信じる道を選ぶ。一方、武装探偵社では、敦が宮沢賢治の担当する事件現場へ同行していた。聞き込み調査を行う二人。敦は、持ち前の朗らかさで街の人たちと接する賢治に感心するが……。
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たえまなく過去へ押し戻されながら
敦に懸賞金を掛けた黒幕は、「ギルド」と呼ばれる北米異能力者集団のリーダーだった。先手を打たんとばかりに武装探偵社を来訪したフランシスは、お詫びの商談と称して「異能開業許可証」の買収を持ち掛けるが、理想高き福沢がこれを一蹴。しかし、彼らは一夜にして7階立てのビルを消滅させ、無言の警告を行う。さらに、行方不明となった賢治に続き、ナオミも街中で姿を消し……。敦は、人質となった仲間を救うべく、ルーシーの異能力空間に挑む。
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黒の時代
霧深き夜――。織田作之助がバー「ルパン」へ赴くと、先客の太宰治がいた。そこへ、密輸品の買い付け帰りの坂口安吾も合流。悪名高い「ポートマフィア」に属する男たちの、いつもの夜だった。だが、その日を最後に安吾が消息を絶つ。時を同じくして、暗証番号で守られた最高保管庫のひとつが「ミミック」なる組織に襲撃される。ボス・森鴎外から直々の指令を受けた織田作は、安吾捜索に乗り出すが……。
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戻れない場所
織田作がとある洋食店に通うのは、何も好物の混ぜカレーを食べるだけではない。店主に、幼い子供――二年前に起きた抗争で親を失った孤児たちを預けているのである。織田作は、安吾の足跡を求め、彼と初めて出会った施設へと向かう。一方、ミミック兵を生け捕りにすべく仕掛けた罠の成果を確認しに行く太宰。だが、待ち受けていたのは物言わぬ死体。そこには部下の芥川龍之介がいた。
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いつか海の見える部屋で
五大幹部会が招集され、ポートマフィア全戦力をもって犯罪組織ミミックを迎撃することが下される。街では奇襲を受けた武闘派の構成員たちが抗争を繰り広げるが、ミミックの首領・ジイドがあらわれ、芥川を圧倒。助けに入った織田作に、彼はある予言じみた言葉を告げるのだった。そして、また夜が来る――。いつものバーを訪れた太宰と織田作の前に、ミミックの手から救出されながらも、謎の黒い特殊部隊と共に消えた安吾が姿をあらわす。
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文豪ストレイドッグ
安吾の仲介により、ポートマフィアの首領・森鴎外と内務省異能特務課の最高指揮官・種田山頭火長官の会合が行われた。太宰は、ミミック襲来に始まる三組織の抗争に隠された思惑へと辿り着こうとしていた。だが、子供たちを惨殺され夢を失った織田作は彼の説得に耳を貸すことなく、たった一人で敵陣へと乗り込む。宿命の時を迎えた、織田作とジイド。同じ未来予測の異能力を持つ2人の戦いは、やがて奇妙な現象を引き起こしていく……。
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三社鼎立(ていりつ)
人を殺めずに生きられる道を信じ、武装探偵社での初仕事に臨む鏡花だったが、お遣い先で一騒動起こしてしまう。うなだれる鏡花を励ます、敦。そのとき、もはや鳴らないはずの携帯電話から何者かが「夜叉白雪」に命令し、敦を斬りつけた。声の主は、ポートマフィアの幹部・尾崎紅葉。可愛がっている鏡花を連れ戻しにきたのだ。国木田たちが救援に駆けつけ、武装探偵社とポートマフィアは睨み合う。だがそこへ、組合(ギルド)の異能力者たちがあらわれ……。
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The strategy of conflict
マーガレット・Mとナサニエル・Hは、組合(ギルド)が拠点とする豪華客船を守っていた。そこへ舞い込んだ一通の手紙。「船と2人の命を消す」と綴られた、ポートマフィアのボス・森鴎外からの予告状だった。続いて船員が、不審な男――梶井基次郎を拘束。2人は梶井を侮るが、やがて彼の持つ真の異能を知ることとなる。そして、沈みゆく船上に次なる刺客の姿が……。さらに鴎外は、とある「手土産」とともに中原中也を武装探偵社へ差し向ける。
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ウィル・オブ・タイクーン
ポートマフィアからリークを受け、郊外に避難していたナオミと春野の誘拐に乗り出す組合(ギルド)のジョン・Sとラヴクラフト。危ういところを、ありふれたモラルを越えた谷崎の愛が救う。一方、敦と太宰は、逃げてくる彼女たちを安全な場所まで護衛するため駅で待っていた。監視されていることに気付いた太宰は、敦から離れて樋口と黒蜥蜴をおびき出す。しかしそこで、最悪な展開を告げられるのだった。鴎外が、忌まわしき「Q」を解き放った、と――。
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頭は間違うことがあっても
敦を連れ去ろうとするフランシス・Fの前に、消息を絶っていた鏡花が立ちふさがる。生まれて初めての思いを胸に“戦う”ことを決めた鏡花は、敦の手を取り走る。だが、ギルドの参謀長官であるルイーザ・Aの作戦に抜かりはなく……。ついに敦は空に浮かぶ異能要塞へと拉致されてしまう。そして、求めていた「人虎」を手中に収め、さらにQを拘束したフランシス・Fは、ヨコハマの街を混乱に陥れる「緊急プラン」の発動を命じるのだった。
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双(ふた)つの黒
探偵社とポートマフィアの共闘。そんな敦の荒唐無稽な提案が、両組織のトップを密談の場へと動かす。だが、鴎外が一時停戦の求めを呑むことはなかった。福沢は牽制する「今夜だけは邪魔をするな」と。その夜、Qの奪還に向かった太宰を待ち受けていたのは、組合(ギルド)の罠、そして……。太宰と中也。一夜限りの復活を果たす、黒社会最悪と謳われた「双黒」コンビ。それこそが、鴎外の最適解だったのだ。かくして対組合(ギルド)共同戦線、反撃の狼煙が上がる――!
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其の一『ポオと乱歩』 其の二『天(あま)の海をゆく白鯨のありて』
乱歩のもとに届いた「推理ゲームへの誘い」。それは、6年前に敗れた雪辱を果たすべく組合(ギルド)の遠征船に同乗してきたというポオからの挑戦状だった。勝てば「組合(ギルド)の弱点」を教えるという条件で、乱歩は与謝野とともに勝負を受ける。また太宰は、軍警に捕縛された鏡花を救出するため入院中の安吾を見舞う。そして、敦を白鯨(モビー・ディック)に単独潜入させる作戦に出た探偵社であったが……。
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羅生門と虎と最後の大君(たいくん)
白鯨(モビー・ディック)の制御端末を探して敦は船内を走る。だがそこへ、敦への復讐に燃える芥川が立ちふさがるのだった。今にも街が失われようというときに、貴様を殺しに来たと言う芥川に対し、微塵も理解できないと憤る敦だが、2人は分かり合えるはずもなかった。太宰の指示でどうにか逃げおおせたものの、その先で制御端末を守っていたのは――。不運極まる敦が迎えた“最悪な状況”。ヨコハマの空の上、熾烈な戦いがはじまる。
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若し今日この荷物を降ろして善いのなら
己のすべてを賭したフランシス・Fの野望を敦と芥川の協力による一撃が打ち破る。しかし、制御装置を手に安堵したのもつかの間。何者かによって、再び白鯨(モビー・ディック)は地上へ迫っていく。「まだ方法はある」――。もはやこれまでかと諦めかけたそのとき、届いたのは鏡花の声だった。自分の乗る無人航空機を衝突させ、海に落とそうというのだ。たとえ、その身が硬い鎖につながれていようとも……。
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独り歩む
「我が魂をかけて、この完璧なる予定をこなしてみせる!」。超重要案件が鈴生りとなったこの日、彼の意志は固かった。立ちふさがる武装探偵社の面々を払いのけ、相棒・太宰治の策にも弄されず、手帳に記したスケジュールを遂行せんと進む国木田独歩。だが、決して遅れられない列車に乗ったそのとき、黒いフードの男が少女に旅行かばんを手渡す光景が目に入る。頭をよぎる、爆弾魔の噂……。思わずホームへと飛び出した国木田に、番狂わせの一日が襲い掛かる――。
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太宰、中也、十五歳
ヨコハマ租界近くの擂鉢街に〝とある人物〟が現れたという噂を耳にしたポートマフィアのボス・森鴎外は、十五歳の少年・太宰治に真相究明を命じる。だが、調べを進める太宰に、敵対する組織の一つである「羊」のリーダー・中原中也が襲い掛かった。「お前が調べている『アラハバキ』について、話してもらおうか」と、聞き慣れぬ名を口にする中也。しかし2人は、突然の爆発に巻き込まれ……。そのとき太宰が見たのは――黒い爆炎を背に立つ「先代ボス」の姿だった。
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荒神は今
「羊」の仲間を人質に取られ、太宰と行動を共にする中也。2人は「アラハバキ」による爆発の生存者に聞き込みを行おうとするが、ポートマフィアと敵対する「GSS」の襲撃に遭ってしまう。彼らの向かう先にして、森派に立つ構成員・蘭堂の屋敷をもまた爆破されたことから、すべてはポートマフィアを仲間割れさせるための対立組織による策謀かと思われた。しかし、蘭堂はこう証言し、その推測を覆す。すなわち「あれは、本当に〝荒神〟だった」と……。
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ダイヤはダイヤでしか
「どちらが先に犯人を糾弾できるか、勝負しよう」。太宰が持ちかけた推理勝負を受け入れる、中也。「羊」の仲間たちから「ポートマフィアの犬に成り下がったのか」と罵られようとも「これは俺の問題だ」と、その期待の眼差しを振り切って突き進むのだった。やがて彼らは、黒幕の告発に至るが……。明かされる、蘭堂の正体。そして、中也が「アラハバキ」を追っていた真の理由とは――? 「先代ボス」の凶刃が、太宰に振り下ろされる!
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咎与うるは神の業
手足を拘束され、頭部を袋で覆われた――〝怪物〟。それは、組合(ギルド)との抗争の際、密かに白鯨(モビー・ディック)墜落を図った、盗賊団「死の家の鼠」の頭目・フョードルであった。ポートマフィアに噛み付いた者には、痛烈なる報いが与えられなければならない。彼をプロの誘拐屋に捕らえさせた五大幹部の一人・エースが、その仕事を買って出る。奴隷同然の扱いを受けている下級構成員の少年・カルマは、袋の鼠となったフョードルを憐れむが……。
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Slap the Stick & Addict
組合(ギルド)戦を終え、その遺産を狙った海外組織が街に流入しているという噂もある中、いわゆる燃え尽き症候群に陥ってしまった武装探偵社は、同じビルの1階で営まれている喫茶「うずまき」で、無為に時を過ごしていた。だが、何者かに店が襲われて……。一方、白鯨(モビー・ディック)の墜落を図った黒幕を追っていた国木田は、残された手がかりを持って、凄腕の情報屋・田山花袋を訪ねる。しかし、花袋はとある理由で異能力が使えなくなっていて――!?
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其の一「ヘルリス!」 其の二「父の肖像」
武装探偵社の憩いの場である喫茶「うずまき」で、元・組合(ギルド)のルーシーが住み込みで働き始めた。自分への〝復讐〟のためだと言われ、心当たりのない敦は戸惑うばかり。そんな中、彼女はぶっきらぼうに書類の束を突きつける。それは、店を訪れた人から託されたという鏡花への探偵仕事の依頼で――? また別の日、敦は、乱歩から、とある仕事を押し付けられてしまう。だが、向かった現場で被害者の身元を知り驚愕する……。
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フィッツジェラルド・ライジング
ヨコハマの貧民街に、元・組合(ギルド)のルイーザの姿があった。知らない人とは目も合わせられない内気な少女が、なぜ、このような危険な場所に? やがてボロを来た男に金をせびられた彼女は、答える。「差し上げれば、願いを聞いて下さいますか?」。その薄汚れた男こそ――いくら「生きているはずがない」と言われようと、あきらめずに探し続けた、かつてのボス・フランシスだ。だが、フランシスは、ルイーザを拒絶し……。
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仮面ノ暗殺者
「異能力者に死を」――。深夜、人気のない路地裏を一人歩いていた武装探偵社の社長・福沢諭吉が、仮面の男に襲われた。福沢は、武術の達人である。しかし、思わぬ〝赤い閃光〟の餌食となり、一命は取りとめたものの意識を失ってしまう。この頃、夜ともなれば同様の事件が横行し、死者も出ていた。「夜の管理者」たるポートマフィアが、そのような事態を黙って見過ごすわけもなく、すでに犯人は追い詰められていたのだが……。
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共喰い(其の一)
福沢と鴎外に巣食うは「共喰い」の異能。48時間掛け、極小型の異能生物が宿主のからだを食い破るまでに成長する。だが、どちらかが死ねば、もう一方の異能も停止するという。これこそが、武装探偵社とポートマフィアを潰し合わせるべく弄された、フョードルの策略であった。ウイルスの異能力者を見つけ出すことを第一とし、ポートマフィアの包囲をくぐり抜けた武装探偵社。しかし、その隠れ家と思しき場所へ向かった国木田と敦を待ち受けていたのは……。
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共喰い(其の二)
福沢は、己の死に瀕しながらも「ポートマフィアと戦ってはならぬ」と命じる。命令違反となる戦いに参加するか否か? 自らの推理力を持ってしてもウイルスの異能者を捕まえるのは無理だと判断した乱歩は、社員たちに選択を迫るのだった。国木田と敦は、花袋が黒幕の居場所を掴んでいるかもしれないという万が一の可能性に賭け、彼のアパートへ向かうのだが……。両社の戦いが、ついに火蓋を切る。ウイルス発症まで、あと14時間――。
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共喰い(其の三)
武装探偵社とポートマフィアによる喰い合いは続く。今や、ヨコハマの地を守るべく実現された「三刻構想」は、終焉を迎えようとしていた。そんな中、福沢と鴎外は、同じ思いのもと、病床を抜け出すのだった。因縁の地で、2人は若き日のごとく刃を交え――。一方、敦と芥川は、敵のアジトが構えられた古い炭鉱跡に潜ることとなる。太宰は、2人に共闘を指示した。素直に受け入れる芥川に拍子抜けする敦だったが……?
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回向(ECHO)
ウイルス異能力者のプシュキンを追い、トロッコを走らせる敦と芥川。だがそこへ、坑道に地の利がある異能力を持つイワンが襲い掛かる……! 傷一つで感染し、力を奪うウイルスの脅威。2人は、「死の家の鼠」構成員たちとの攻防にあえぐ。その頃、太宰もまた、1回きりのチャンスに賭け、こちらの手勢を削ぐ数々のおとりの中からフョードルを探していた。果たして、太宰をも恐れる〝魔人〟によって仕組まれた「共喰い」抗争の行方は――!?
スタッフ
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アニメーション制作
ぽんず -
キャラクターデザイン
新井伸浩 -
シリーズ構成・脚本
榎戸洋司
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プロップデザイン・サブキャラクターデザイン
ヒラタリョウ -
メカニックデザイン
片貝文洋 -
ヤングエース
KADOKAWA -
原作
朝霧カフカ -
掲載誌
ヤングエース -
撮影監督
神林剛 -
漫画
春河35 -
熊野はつみ
KUSANAGI -
監督
五十嵐卓哉 -
総作画監督
菅野宏紀 -
編集
西山茂 -
美術監督
近藤由美子 -
美術監督補佐
熊野はつみ -
色彩設計
後藤ゆかり -
製作
文豪ストレイドッグス製作委員会 -
音楽
岩崎琢 -
音楽制作
ランティス -
音響制作
グロービジョン -
音響効果
倉橋静男 -
音響監督
若林和弘 -
シリーズ構成
榎戸洋司 -
ヤングエース
KADOKAWA -
熊野はつみ
KUSANAGI -
脚本
榎戸洋司 -
色彩設定
近藤ゆかり -
銃器デザイン
片貝文洋
キャスト
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フランシス・F
櫻井孝宏 -
ルーシー・M
花澤香菜 -
与謝野晶子
嶋村侑
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中原中也
谷山紀章 -
中島敦
上村祐翔 -
国木田独歩
細谷佳正 -
太宰治
宮野真守 -
宮沢賢治
花倉洸幸 -
梶井基次郎
羽多野渉 -
森鴎外
宮本充 -
樋口一葉
瀬戸麻沙美 -
江戸川乱歩
神谷浩史 -
泉鏡花
諸星すみれ -
福沢諭吉
小山力也 -
芥川龍之介
小野賢章 -
谷崎ナオミ
小見川千明 -
谷崎潤一郎
豊永利行