最遊記外伝
エピソード
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桜雲の章
天界で退屈に過ごしていた金蝉童子のもとに下界の岩から生まれたという少年、悟空が預けられる。悟空はそこで、天界西方軍元帥・天蓬や同軍大将の捲簾、闘神太子・ナタクらとも親交を深めていく。だが、ナタクが天界唯一の闘神太子であることで権力を握っていたナタクの父・李塔天は悟空にその地位を脅かされるのではないかと危惧し、ナタクに悟空の殺害を命じる。父親の命令と悟空への友情の間で葛藤したナタクは、自分自身を斬りつけてしまう。瀕死のナタクに衝撃を受けた悟空は、金鈷によって封印されていた「斉天大聖」の力を解放し、本能のままに虐殺を行なってしまう。「不浄の者」である悟空をかばったことによって、天界全体を敵に回すことになった金蝉、捲簾、天蓬。彼らは西海竜王・敖潤を人質に、天蓬の執務室がある西南棟に立てこもるが……。
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散華の章
天界と下界をつなぐ唯一の通り道・次空ゲートを目指す金蝉童子、悟空、捲簾大将、天蓬元帥。次々と迫る天界軍の追っ手を倒しながら、先へ進む四人は奇妙な地下室にたどり着く。そこにいたのは、李塔天の仲間である賀孟と、彼らが造り出したナタク太子の失敗作たちだった。四人はそこで李塔天達の企みを知るが、その時すでに天帝は李塔天一派に暗殺され、悟空達四人に罪が被せられていた。「ナタク」達によって行く手を阻まれた四人。絶体絶命の状況の中、捲簾が単騎進み出て、悟空らの道を切り開く-------。
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萌芽の章
天帝城地下の最下層まで侵入を果たした、金蝉童子、悟空、天蓬元帥。しかしゲートには厳重な警備が配置されていた。そこで天蓬は、金蝉と悟空を先に行かせるため、自らが囮となってゲートの番人たちを引きつける。次々と襲いかかってくる天界軍を斬り捨てていく天蓬だったが……。一方、次空ゲートにたどり着いた金蝉と悟空。しかし既にゲートのパスワードは書き換えられ、下界への逃走路は断たれてしまっていた。窮地に追い込まれた二人の前に李塔天が立ち塞がり、ナタクを蘇らせる為に悟空の身体を引き渡すよう迫る――――――――。終わりへと続く始まりの物語、遂に感動の完結。悟空の心に残るのは絶望か、それとも希望か!?
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香花の章
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香花の章
それは、下界でいうところの数年前。天蓬が元帥に着任して間もない頃、一人の男が東方軍から西方軍に着任してくる。天蓬元帥と捲簾大将、天界全体をゆるがす大事件を引き起こした二人の出会いだった。優秀な軍人だが、生活態度はズボラでいい加減な天蓬と、男気あふれる性格のわりに、面倒見の良い捲簾。天界の規律にとらわれない二人は、上官と部下というよりも、悪友のような関係で上手くいっていたが、捲簾は、出陣したときの天蓬の行動が引っ掛かっていた。元帥という立場を超えて、一人で現場を片づけようとするその姿。普段とは別人のようなその眼は『自分以外の誰も信用していない』と語っているようで――。唯一殺生を許された『闘神』不在だったその頃、下界には異様な数の大妖怪が次々と出現していた。『不殺生』が原則である天界軍は、討伐と称し、『封印』という手段をとっていたが、度重なる出陣に、兵力は消耗していた。それは、天蓬たち西方軍第一小隊も例外ではなかった。応援の部隊も臨めない危機的状況を打破しようと、自ら囮となって、妖怪たちをひきつける天蓬。そんな彼の行動に、捲簾と第一小隊の隊員たちは……。