異国迷路のクロワーゼ
エピソード
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入口 “Entrée”
19世紀後半のパリ。時代の波に取り残された商店街、ギャルリ・ド・ロアに、ある日、ポクポクという聞きなれない足音が響きます。足音の主は、日本人の少女、湯音。はるばる日本からパリへ奉公に出てきた湯音は、寂れているとはいえ、初めて出会うものばかりのギャルリに、目を輝かせるのでした。店に着いて早速掃除をはじめた湯音は、一瞬、店の窓から誰かが中を覗いていたような気がして……。
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チーズ “Fromage”
朝早くから食事の準備を手伝おうとする湯音。でも、フランスの食事は日本の様に暖かい味噌汁やご飯が出てくるものではなく、湯音は日本とフランスの違いに改めて驚きます。固いパンやにおいの強いチーズ、苦いコーヒー……。食べられないなら残せば良いのにフランスの食事に頑張って慣れようと、食べ切れなかったチーズを持ち帰ろうとする湯音。日本的な価値観がいまひとつ理解できないクロードで――。
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日本迷宮 “Labyrinthe du japon”
相変わらず、日本の文化や湯音の考えていることが理解できずにいるクロード。湯音やオスカーに日本について色々と訊いてみるのですが、家の構造や「畳」、「井戸」、「日本庭園」……二人の話の内容を聴いて想像すればするほど、ますます訳が分からなくなってしまいます。その頃、ギャルリの所有権を持つ市民富裕層(ブルジョワジー)のブランシュ家では、日本の品物を収集しているアリスが新しい着物を手に入れていました。
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水明かり “Eau et lumiéres”
苦手なチーズを克服するため、日本から持ってきた醤油を持ち出した湯音。フランスでは見慣れないその黒いソースに渋い顔をするクロードですが、オスカーの発案で今度日本食を作ってみることに。そんな夜、突然ブランシュ家から湯音の元にお茶会への招待状と花束が届きます。湯音にはまだ早いとクロードは招待を断りますが、その知らせを聞いてどうしても納得できないアリスはクロード達の店へと乗り込んできます。
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音楽会 “Récital”
湯音がパリに来てしばらくたったある日。店には今日もお客様はなかなか現れません。たまたま通りかかったご婦人に気付いて呼び込もうと声を掛ける湯音ですが、逆に警戒されてお客様は帰ってしまいました。「店番なんて、黙って客が怪しい行動しないか見張ってりゃいいんだ」というクロードですが、日本の商売はお客様を第一に考え、行動するのが普通。感覚の違いに戸惑う湯音。そんな時、湯音は店の外に小さな人影を見つけます。
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迷子 “Perdus”
どうしても湯音を屋敷へ招き入れたいアリスは、今日もギャルリに馬車で乗りつけ、クロード達の店にやって来ます。今日は写真を撮影したいというアリス。ブランシュ家の屋敷で湯音は、アリスとカミーユが小さい頃の写真を見せてもらいます。子供の頃からきちんと“クリノリン”を身に着けていたというカミーユ。姉のことを誇らしげに話すアリスとは対照的に、写真の中のカミーユはどこか少し寂しげです。
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鳥籠(クリノリン) “Crinoline”
いつもの様に湯音が店番をしていると、つい先日の貧しい男の子が店先に姿を見せます。もう悪いことをしない様に、と朝食の残りのパンを渡しながら男の子に優しく注意する湯音に、クロードは「そんな注意など子供は理解力がない野獣だから通じない」と怒ります。日本の感覚とはまたしても違う考え方に戸惑う湯音。それでも、その子のことを少しでも分かってあげたいと願う湯音ですが、実はその日は朝から体調が優れなくて……。
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天窓 “Lucarne”
アリスにお茶会へ招待され、ブランシュ家の屋敷へやってきた湯音と、シブシブついてきた付き添いのクロード。アリスにどこかへ連れていかれる湯音を見送ったクロードは、姉のカミーユと話すことに。二人は昔、中庭で度々逢っていた間柄なのでした。一方、湯音は日本のおとぎ話を色々とアリスに語ってきかせます。お礼にと、子供時代の部屋に湯音をつれてきたアリスは、今度は子供の頃の話を湯音に語ります。
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子供部屋 “Chambre d'enfant”
ブランシュ家に招待された湯音とクロード。湯音は日本のお茶が手に入ったというアリスと、屋敷の中庭で日本式の野点をすることに。一方、そんな二人を見守るクロードが思い出していたのは、カミーユとの昔の思い出。自動車や汽車など、数々の新製品に心ときめかせていた子供時代。幼いクロードはある日、通りに来ていた芝居小屋をみつけ、カミーユを屋敷の外へと誘うのですが……。
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秘密 “Jardin secret”
父親の代からのお得意さんから看板の制作を依頼され、父親の遺したデッサンと向き合うクロードは翌日、打ち合わせのためにパリを離れます。一方、主人が留守の間も頑張って働こうとする湯音は、店を掃除している最中、見慣れない機械をみつけるのでした。ありもしないものが、あたかもそこにある様に見えるという不思議な道具、幻灯機。その映し出す光景に、湯音は昔、日本で遊んだ影絵を思い出します。
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魔術幻燈(ファンタスマゴリー) “Fantasmagorie”
時代の最先端を集めた巨大な複合店舗、グラン・マガザン。ある日、店にやってきたアリスにグラン・マガザンへ誘われた湯音ですが、グラン・マガザンといえばギャルリの商売敵。どうしても許可できないクロードは、その代わりにとピクニックを提案します。その当日、ふとしたきっかけで日本でのお花見を思い起こした湯音は、姉との昔の思い出を語りだします。
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祈り “prière”
湯音が少しずつギャルリに馴染み、クロードと買い物にも出かける様になったある日。クロードの仕事の手伝いをしようと仕事場の小さな手袋を持ち出した湯音ですが、それはクロードの父親の遺品で、つい感情的になったクロードは「どっか行ってろ」とつらく当たってしまいます。その後、さすがに気にかかって湯音を探すクロードですが、湯音は店のどこにも見当たりません。
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屋根の上の猫 “Chats sur un toit”
湯音がギャルリに馴染んできたある日。クロードの手伝いをしようと仕事場の手袋を持ち出した湯音ですが、それはクロードの父の遺品でした。つい感情的になったクロードは「どっか行ってろ」とつらく当たってしまい…。