W ~ウィッシュ~
エピソード
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潤和と泉奈
第一話:進学校に通う、ごく普通の高校生、遠野 潤和(とおの じゅんな)は、過去に大きな事故に巻き込まれ、両親を亡くしていた。潤和自身も事故以前の記憶を失ってしまい、今は生き残ったたった一人の肉親である妹の泉奈(せんな)とともに2人だけの生活を続けていた。 学期末テストも終わり夏休み前に行われる学園祭に向けて生徒達は大忙し、そんな中潤和は担任の貴子(たかこ)先生に兄妹2人だけでの生活は色々と問題もあるだろうと言う事で学園の寮に移ってこないかと相談される。両親の居ない潤和は泉奈が唯一の肉親なので家族と別れる事はしたくないと話を断る。泉奈もまた同じ気持ちで兄の言葉をうれしく感じていた。学校からの帰り道に泉奈はそんな兄を気遣うように、これからも兄妹で沢山の思い出を作ろうと一生懸命潤和に甘えるのであった。
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助けて お助けクラブ
第二話:桜夏祭も近づき、クラス中が色めき立つ毎日。そんな中、突然中等部の少女・藤枝彩夏が潤和を呼びに来た。呆然としたまま潤和が連れて来られたのは、なぜか文芸部。そしてそこに待っていたのは、学園中の男子の憧れ、鳳つばさ先輩であった。突然「『お助けクラブ』を作った」と潤和に告げるつばさと彩夏。いったい『お助けクラブ』とは?そして、連れて来られた潤和の運命は!?
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もう一人の妹
第三話:なんだか良く解からないまま『お助けクラブ』なるものに入部させられてしまった潤和は、朝からご飯も食べずに学校中を駆けずり回る毎日だ。一方、クラスでも変わり者で通っている智は、こんな賑やかな時期だというのに孤独な雰囲気のまま。智のことが気になって仕方が無い潤和は、クラス出展の「お化け屋敷」を手伝わないか、と彼女に持ちかける。戸惑いながらもクラスの準備を手伝う智の姿に、周囲も和み始めるのだった。しかしそんな中、人助けをするはずの『お助けクラブ』がとんでもない事件を引き起こしてしまう!?
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押し寄せる不安
第四話:突然現れた幼なじみの春陽は元気だけがとりえの女の子。春陽は『お助けクラブ』の仕事を手伝うんだ、と潤和を追いかけはじめる。やっかいな幼なじみに振り回される兄を不安そうに見つめる泉奈。そして、複雑な妹の気持ちをヨソに『お助けクラブ』のハードな仕事は続く。そんなある日、泉奈は委員長から「あなたの家から桜夏祭用に借りたいものがある」という申し出を受ける。そして同じ日、潤和は忙しさのあまり学校に泊まることに。家で待機か、潤和に着いていくか……泉奈の心は激しく揺れるのだった。
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桜夏祭前夜…
第五話:とうとう学園祭の前日。追い込みのドタバタの中、委員長の秋乃が転んでしまう。痛がる秋乃と彼女を気遣う潤和を見て、「自分にも優しくしてほしい!」と自分も怪我をすべく暴走をはじめた春陽。しかしそれを見ていた泉奈は、春陽のワガママをガマンできず、思わず叱ってしまうのだった。泉奈の願いは、兄・潤和と優しい時間を過ごすことだけ。桜夏祭前の忙しい中、泉奈のささやかな願いは叶うのか……?
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闇の中の記憶
第六話:ついに桜夏祭当日。潤和や委員長の秋乃はクラス催し物である「お化け屋敷」の完成に大満足。学園の中は祭一色、楽しく賑わっていた。そんな中、春陽は学校に遅刻。楽しそうにしている潤和と泉奈を見つけて追いかけるが、見失ってしまう。一方、潤和は夕方ふと春陽との約束を思い出し、春陽を探そうと思い立つ。しかし、今ここで妹を一人にするわけにもいかない……。打ち上げ花火の下、潤和が向かうのは!?
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夏だ!海だ!水着だ!!
第七話:とうとう夏休み!潤和たちはみんなで、海の近くにあるというつばさ先輩の別荘に行くことに。周りを見ると水着の女性ばかりで困りつつも、内心ちょっぴり嬉しい潤和。そんな兄になんだかイラ立つ泉奈。そんな中、水辺ではお約束のビーチバレー大会。パートナー選びは優勝を勝ち取るための大事なポイントだが、ここで大問題が。泉奈のパートナーが、なんとあの春陽になってしまったのだ!海は嵐の予感!?
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思い出のアルバム
第八話:その日、海で撮った写真を渡しに彩夏がやって来た。夏の思い出を楽しむ潤和と泉奈は、ふと「昔の写真を見れば潤和の記憶が戻るのでは」と思い立つ。しかし、物事はそう上手くは行かなかった。落胆する潤和に「これからの思い出を大切にすればいい」と言う泉奈。「新しい思い出」を収めるアルバムを買いに出かけた三人だったが、その帰り道、遠野家の前に見知らぬ人影が。
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隠された過去
第九話:部屋にこもったままの泉奈は、ひざを抱え、虚ろな目で考えていた。自分のしてしまったこと、これから起こるであろうこと。一方、不穏な予感を感じる潤和は泉奈を元気付けようと、父や母ならどうしただろうか?と考えをめぐらせる。やがて断片的に蘇る記憶……しかしそれは、泉奈が一番恐れていたことだった!
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歪みゆく世界
第十話:潤和が隠されていた「事実」に気が付いてしまったとき、街は不思議な霧に包まれた。グニャリとゆがむ時間、場所。昼下がりの街に立ち上る、白い陽炎。「私はここで、全てを見ている……」そして、記憶は紐解かれる。
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泉奈の真実
第十一話:笑顔の父と母、手を振るのは小さな妹。幼い頃の記憶は、川岸で咲き乱れる彼岸花の中。そしてその下に眠っていたのは、覚悟のない者が手にしてはいけない「遺物」だった……。幸せだったあの日に潤和が願ってしまった真実、そしてその代償とは?
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迫られる選択
第十二話:失っていた記憶を暖かく埋めてくれた、妹との思い出。海水浴、桜夏祭、笑顔、いつもの日々。しかし街を包む霧は無情にも、今の潤和がおかれている状況を浮き彫りにする……。……今崩れようとしている、世界のバランス。壊れていく景色の中、潤和が手に取ったものとは!?
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三つの思い
第十三話:自分をとりまく世界、その何もかもを失いたくない!それが、全員の思い、全員の願い。すべての記憶を取り戻し、“たいせつなもの”を探して霧深い街を駆け抜ける潤和。父と母の言葉が脳裏に蘇る。「ただ、強く思うんだ、強く!」