天保異聞 妖奇士
エピソード
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説一『妖夷、来たる』
湯屋で湯汲みをしていた竜導往壓は、陸奥から流れてきた農民の親子に出会った。たえと央太というその親子は、何かに追われている様子。二人を自分の長屋にかくまう往壓だったが、央太が「異界」を求めて飛び出していってしまう。その思いに応えるかのように出現する「異界」。そこから、巨大な妖夷が姿を現し……。
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説二『山の神堕ちて』
妖夷の争いに紛れて、往壓そしてたえと央太の親子は放三郎の屋敷に連行されてしまった。放三郎の目的は往壓を奇士に迎え入れることだった。そんなとき、たえと央太を追って、屋敷に妖夷・山子が出現。その最中、姿を消した央太。宰蔵とともに央太を探して町へ出る往壓。そこで、往壓は宰蔵から山子出現の背景を聞く。
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説三『華江戸暗流』
日比谷の地下に存在する「蛮社改所」の本部に足を踏み入れた往壓。そこで、捕らえた山子を調理して食べる奇士たち。彼らは改めて、往壓に奇士となるよう勧めるのだった。その頃、江戸の各地で鎧の妖夷が出現していた。ある具足屋で、狂ったように黄金の鎧を探す老人を見る往壓。その老人には異界の陰があった。
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説四『生き人形』
見世物小屋界隈で人が消えるという謎の事件が頻発していた。妖夷が関係しているのか調査するため、奇士たちが出動する。往壓は、ある見世物小屋で異人の少女・アトルと再会する。彼女は素性を隠し、雪輪という白馬とともに曲馬乗りをしていた。この事件の裏に、アトルと雪輪が絡んでいると見る奇士たちだったが……。
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説五『ひとごろしのはなし』
生き人形に乗り移った妖夷を漢神で倒す往壓。格闘の最中、鳥居の命によりアトルの馬・雪輪が捕らえられてしまう。アトルを匿った往壓は、彼女から自分の傍に悪魔の姿が見えると言われる。その頃、お篠という女性が小笠原の屋敷を訪れた。往壓の昔馴染みだというお篠は、十五年前、往壓が犯した罪を訴えに現れたのだった。
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説六『竜気奔る』
十五年前に犯した罪の記憶を取り戻していく往壓。その頃、アトルの馬・雪輪は鳥居耀蔵の手によって捕らえられていた。鳥居は雪輪を異国の神であると言い、その妖夷を操る能力を見定めようとしていたのだ。鳥居の飼う妖夷の血に、昂ぶり暴れだす雪輪。変貌した雪輪を鎮めるために、アトルは自らを犠牲にしようとして……。
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説七『竜は雲に』
怒り昂ぶる雪輪を鎮めるため、立ち向かう奇士たち。往壓は雪輪から漢神を取り出そうとするが、その名が見つからない。雪輪の放つ冷気に、なす術のない往壓。その苦境に、雲七は自分の体から漢神を取り出すよう往壓に言うのだった。だが、漢神を取り出せば雲七は妖夷のように消えてしまうのではないかと往壓は躊躇する。
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説八『狐芝居』
芝居町で面だけを残して人が消えるという怪事件が起きる。調査に動き出した奇士たちは、芝居町で金色に光る狐に取り囲まれてしまう。往壓の力で窮地を脱するが宰蔵は往壓の協力を拒み、一人で事件を解決すると言い出す。宰蔵は往壓の力を恐れていたのだ。芝居町に訪れた宰蔵は、豊川一座という女芝居の一行に出会う。
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説九『面と怨』
宰蔵を救うため、芝居小屋へとやって来た往壓たち。宰蔵は狐たちに囲まれ、面の妖夷に取りつかれてしまっていた。外へと飛び出していった宰蔵は、その舞いで江戸市中の怪たちを目覚めさせていく。騒ぎの発端に宰蔵がいると鳥居に知られた小笠原は、宰蔵を始末するという苦渋の決断を下す。往壓はそれを拒むが……。
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説十『弥生花匂女神楽』
面の妖夷に取りつかれたまま、芝居町に向かう宰蔵。面の妖夷・無慈儺は、別の者になりたいという人の願望を喰っているという。女でありながら男として育てられた宰蔵が抱く願望とは……。宰蔵から漢神を取り出そうとする往壓。だが、宰蔵はそれを頑なに拒む。自分の名に込められた意味を暴かれることを恐れていたのだ。
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説十一『日光怪道』
将軍の日光参詣に先立ち、日光街道の妖夷退治を命じられた往壓。小笠原と二人で日光へ旅立つが、そこには種々の妖夷がはびこっていた。同じく妖夷退治に動く鳥居の手下である本庄たち。一方、小笠原のかつての友人・加納政之進は本庄を追いかけ、仇討ちを果たす機会を窺っていた。小笠原は加納を止めようとするが……。
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説十二『駁竜(はくりゅう)、月に吠える』
日光街道で妖夷退治をする本庄らは、怪しい力を持つ石の欠片を「西の者」たちに奪われてしまった。日光東照宮で巨大な妖夷を出現させる西の者たち。往壓は漢神で戦うが歯が立たない。雲七と合体した雪輪に、自分を食えと往壓は告げる。その頃、加納を斬れと命じられた小笠原は、かつての友人である加納と対峙する。
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説十三『地獄極楽風聞書(ふうぶんがき)』
アトルが身を隠している江戸吉原の遊女屋で、絵師・河鍋狂斎は豪遊していた。狂斎はその遊女屋で岡引の玉兵と出会う。玉兵は往壓ら奇士の行動を探るべく、彼らを追って吉原にやって来ていた。庶民には知られていない奇士の話に興味を持つ狂斎。そして彼は奇士と関わりがあると思われるアトルの美しさに目を奪われ……。
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説十四『胡蝶舞』
江戸の吉原で、遊女が何者かに殺害されるという事件が起きた。その容疑者として狂斎の名があがり、仲間と疑われたアトルともども捕らえられてしまう。そんな中、新たに殺人事件が発生。見つかった遊女の遺体を見た狂斎は、あることに気づく。発見された遊女の遺体には、共通点があったのだ。それは蝶の彫り物だった……。
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説十五『羅生門河岸の女』
吉原で発生した連続殺人事件。その謎を解く鍵として、遺体から消えた蝶の彫り物を調査する奇士たち。その頃、本庄ら鳥居の手下は異人のアトルを捕らえようとしていた。殺人の濡れ衣を着せられ、追われるアトル。お歯黒溝から逃げ出そうとしたアトルは、そこで遊女の清花と出会う。清花の部屋に匿われるアトルだが……。
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説十六『機の民(きのたみ)』
勘定奉行・跡部良弼が何者かに命を狙われた。同じように、山崎屋という薬種問屋では洋学嫌いの狼藉者が現われていた。同一犯の可能性を疑い、奇士たちは調査に乗り出す。その頃、アビは町で機の民マスラオと再会する。掟を破り、妖夷を倒しているアビに怒りを露にするマスラオ。「気砲」という銃をアビに向けるが……。
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説十七『幽世(かくりよ)』
マスラオから火薬の匂いも銃声もしない「気砲」という銃を買った山崎屋。その山崎屋に姉・ニナイが身を寄せていることを知ったアビは、山崎屋へと急ぐ。一方、山崎屋に用心棒として雇われた宰蔵と元閥は、主人の成川から妖夷の肉を食わされていた。そして成川は、宰蔵たちに自分たちの目的は鳥居耀蔵なのだと語るが……。
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説十八『漂泊(さすらい)者の楽園』
姉のニナイとともに現れた妖夷・於偶。漢神を導き出そうとする往壓だったが、その名が取り出せない。ニナイとともに異界へと消えていく於偶。そして、アビの前には、涙孥という妖夷だけが残される。山の民に憧れ妖夷を神と崇めている青年・米吉は、涙孥は妖夷とニナイの子、ニナイは於偶の妻となったのだと語るが……。
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説十九『三人往壓』
江戸市中に往壓を名乗る男が現れた。偽者の往壓の正体を探るため、往壓の生まれ育った家を訪ねるという小笠原。だが、家を棄てて生きてきた往壓は、家に近づくことができない。その頃、アトルと狂斎は往壓を名乗る少年に出会う。三人目の往壓が現れ驚く一同。彼の本当の名は、土方歳三。往壓の名を語る理由とは……。
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説二十『不忍池子守唄(しのばずいけのこもりうた)』
二十五年ぶりに母親と再会を果たす往壓。姿を消した養子に代わって、家に戻るよう勧められる。家を守るためにも、その申し出を受け入れるよう往壓を説得する小笠原。その頃、奇士たちは往壓を名乗る少年・歳三を捕らえようとしていた。そんな中、歳三の持つ刀から出現した妖夷は、竜導家の養子の後を追いかけていき……。
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説二十一『星夜に果つ』
新潟湾に浮かぶ船に潜む妖夷が、ある集団によって目覚め、江戸へ向かう。娘たちを次々と化け物に変えていく妖夷を捕らえるために出動した奇士たち。だが、この事件の背後にいる「西の者」の存在を鳥居耀蔵は隠蔽しようとする。その頃、宰蔵とアトルは美しい娘ばかりを狙う妖夷を引き寄せるため、囮になろうとしていた。
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説二十二『帰ってこないヨッパライ』
江戸市中の水道に入り込んだ水の妖夷が原因で、井戸の水が酒に変わるという事件が起きた。奇士たちが出動したが、なかなかその妖夷を追い詰められない。その頃、アトルは吉原で一人の男と出会う。武士である彼は、藩から切腹を言い渡される状況にあるという。アトルはこの世で生きられないその男を異界へ導こうとする。
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説二十三『印旛沼古堀筋御普請(いんばぬまふるぼりすじごふしん)』
下総の国・印旛沼の工事中に、妖怪・黒坊主の仕業による事故が相次いで発生した。奇士たちは工事を中止させるため、江戸へやって来た少年・太作から黒坊主の噂を聞く。だが小笠原は、工事が中断すれば鳥居耀蔵の失脚に繋がるため、妖夷退治に動こうとしない。そんな中、往壓は小笠原の制止を聞かずに印旛沼へ向かう。
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説二十四『後南朝幻想』
この世を拒んだアトルは、異界から祗影という巨大な妖夷を生み出した。その出現に、印旛沼は土石流に飲み込まれていく。混乱の中、奇士たちの前に姿を現した西の者たちは、札を使って妖夷を意のままに動かしていく。そして、往壓が駁へと姿を変えた時、西の者たちと行動をともにしていた元閥が思わぬ行動に出る。
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幕間『ヒトハアヤシ』
前島聖天から、その真上に存在する江戸城を陥落させようと、西の者たちが前島聖天に踏み込んできた。小笠原を逃し、前島聖天に留まる宰蔵。小笠原は妖夷を倒そうと幕府を守ろうとする鳥居耀蔵とともに、蛮社改所へと戻っていく。そんな時、前島聖天の地下水脈から百足の妖夷を出現させた西の者。そこへ、現れたのは……。
スタッフ
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アニメーション制作
ぽんず -
キャラクターデザイン
川元利浩 -
コンセプトデザイン
草彅琢仁
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助監督
宮尾佳和 -
原作
會川昇、ボンズ -
戦闘設計
横山彰利 -
撮影監督
大神洋一 -
時代考証
山村竜也 -
漢神デザイン
ねこまたや -
異界デザイン
山形厚史 -
監督
錦織博 -
編集
小野寺桂子 -
美術デザイン
金平和茂 -
美術監督
佐藤豪志 -
色彩設計
岩沢れい子 -
製作
毎日放送、アニプレックス、ボンズ -
音楽
大谷幸 -
音響監督
三間雅文 -
題字
森大衛 -
戦闘設計
横山彰利 -
漢神デザイン
ねこまたや -
異界デザイン
山形厚史 -
題字
森大衛
キャスト
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アトル
折笠富美子 -
アビ
小山力也 -
宰蔵
新野美知
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小笠原放三郎
川島得愛 -
江戸元閥
三木眞一郎 -
河鍋狂斎
高山みなみ -
玉兵
いずみ尚 -
竜導往壓
藤原啓治 -
雲七
うえだゆうじ -
鳥居耀蔵
若本規夫