まんがイソップ物語
エピソード
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アリとキリギリス/しっぽを切られたキツネ
夏の間、天気も良くキリギリスは遊んでばかりいました。一方アリは、暑い中を一生懸命働いていました。そんなアリを尻目にキリギリスは、歌ったり音楽を奏でたりして、ちっとも働こうとはしませんでした。寒い冬になり、キリギリスは食べ物も無く、木枯らしの吹き荒れる外で凍えそうになっています。一方アリはというと、夏の間蓄えた食べ物が有るので、暖かい巣のなかでぬくぬくと過ごせます。キリギリスはアリに助けを求めます。アリはキリギリスに食ベ物と暖かい寝床を分け与えて上げます。働き者は報われるものです。/キツネのこん吉はシッポが自慢です。祭りでコンテストがあり、シッポが自慢のこん吉は張り切ってやって来ます。ところが、何とシッポが切れてしまったのです。いつもはシッポを高々と立ててやって来るこん吉のシッポが今日は無いではありませんか。他の動物たちは不思議がっています。シッポがないと風邪を引かない。人間にはシッポが無いなど、こん吉は苦し紛れにシッポが無いほうが良いのだと力説します。しかし、誰もそんなことは信じません。みんなシッポのないこん吉を笑うだけです。こん吉は動物たちの信用をすっかり無くしてしまいました。
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北風と太陽/ライオンとネズミ
北風と太陽が自分たちのカについて言い争っていました。そこで彼らのうちどちらが、旅人を裸にさせられるか勝負することになりました。そしてまず北風から始め、激しく吹きつけました。その旅人は着物をしっかり押さえたので、北風はいっそう強く吹きつけました。しかし旅人は、寒さに弱らされて余計な着物まで着込んでしまいました。とうとう北風は疲れ切って彼を太陽に譲りました。太陽は最初、ほどよい加減に照りつけ、その人の余分な着物を脱がせてだんだんと暑さを増しました。とうとう彼は暑さに耐えることが出来ずに、着物を脱ぎ捨てて、水を浴びるために側を流れている川に入りました。/ライオンが眠っていると、ネズミがその身体に登りました。ライオンは起き上がって彼を捕まえて食べようとしました。しかし、ネズミが謝って、命を助けてくれれば恩返しをしますと言ったので、ライオンは笑ってネズミを放してやりました。しかし、その後ライオンはネズミの好意に命を救われることになりました。ライオンが猟師たちに捕らえられ、縄でくくりつけられていたところをネズミは駆けつけて縄を噛み切ってあげました。そして自由にしてあげてから、「あなたはあの時、私をあざ笑って、私から恩返しを受けるとは思わなかったでしょ。けどネズミでも恩返しは出来るのですよ」と言いました。
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ウサギとカメ/シカとライオン
カメとウサギがスピードを競うことになりました。そこで彼らは日時と場所を決めて別れました。ところが、ウサギはもって生まれた速さに頼って走ることをおろそかにし、道をそれて眠ってしまいました。一方、カメは自分の遅さを十分に心得ていたため、休まず歩き続けます。こうしてカメは、眠っているウサギを追い越し、先にゴールに到着するのでした。/シカが喉の渇きに堪えられないで、泉のところに行きました。そして水を飲みながら、水に映った自分の影を見た時、角が大きくて幾つにも分かれているのを見て喜びました。しかし、足はヒョロ長くてひ弱そうです。すると、一匹のライオンが現われてシカを追いかけ始めます。けれども自信が無かったはずの足のおかげでライオンから遠くはなれることが出来ました。しかし、木が生えた場所で同じような状況になると、自慢であったはずの角が木の枝に絡まり、走ることが出来ずに簡単に捕まってしまいました。
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カラスと鳥たち/王様を求めるカエルたち
神様が鳥たちの王様を作ろうと言い出しました。皆の中で一番美しいものが王様になれると言い、鳥たちは川へ行ってその身体を洗い始めました。カラスもそこへ出向き、皆から抜け落ちた羽を拾い集めて自分の身体にくくりつけました。そのためカラスが皆の中で一番目立っています。神様は、そのカラスが目立っているので王様に選ぼうとしましたが、それに腹を立てた鳥たちが、それぞれ自分たちの羽をカラスからむしり取り、裸にされたカラスは、もとのカラスに戻りました。/カエルたちが王様を選ぼうと皆でワイワイやっています。みんな似たり寄ったりなので王様を選ぶことが出来ません。そこで、みんなは神様に何でもいいから王様をよこしてくれと頼みます。すると神様は池に棒切れを落とします。最初は、その棒切れを恭しく奉っていましたが、だんだん何を言っても、うんともすんとも言わない棒切れに不満が募ってきます。そこでカエルたちは、もう一度神様に頼みます。今度は別のものが天から池に降ってきました。長いものだが、棒切れではないようです。何とそれはヘビでした。カエルたちは皆、ベビに食べられてしまいました。
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うそつきの羊飼い/アリとハト
羊飼いが羊の群れをある村からずっと遠くへ連れて行く時に、いつもこのようなイタズラをしていました。つまり、大声で助けを村人たちに求めて、オオカミが羊たちを襲ったと言うのです。ニ度三度と村の人たちは驚いて飛び出して来て、その後で笑って立ち去ります。ある時、本当にオオカミがやって来ました。オオカミは羊たちを引き裂き、羊飼いは助けを求めて村の人たちを呼びましたが、村の人たちは、またいつものイタズラだと思い、あまり気にかけてくれませんでした。こうして彼は、羊の群れを失うことになりました。/喉の渇いたアリが泉にやって来ましたが、流れにさらわれて溺れそうになりました。すると、ハトがこれを見つけて木の小枝をもぎ取って泉の中へ投げ入れてくれました。アリはその小枝の上に乗って助かります。その後、ある鳥刺しが鳥竿を継ぎ足してハトを捕まえよう進んで来ました。これを見ていたアリは鳥刺しの足を噛みました。鳥刺しは、鳥竿を投げ出して痛がり、その間にハトは逃げ出しました。
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ロバとオンドリとライオン/イノシシとキツネ
ロバはライオンが怖くて仕方がありません。ライオンのそばにいるときはいつもビクビクしています。ライオンにも苦手なものがあります。それはカン高いオンドリの鳴き声です。この声を聞くとうるさくて頭がガンガンしてきます。ある時ロバがライオンの傍にいたときにオンドリが鳴き、ライオンがその声に閉口していました。それを見たロバは、ライオンが自分のことを怖がっているのだと誤解してしまいます。そして、ライオンに対して高飛車な態度に出ます。ライオンはオンドリの声がする限り何も出来ないが、オンドリの声さえなくなればロバはやられてしまいます。いい気になっていたロバは、オンドリの声から解放されたライオンにまたいつものようにやられてしまいます。 他
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オオカミと子ギツネ/りこうなニワトリ
あるところに何でも知りたがり屋な子ギツネがいました。今朝もお父さんに世の中には色々な生き物がいるということを教わりました。その子ギツネがオオカミに出会います。子ギツネが今朝初めて出会った生き物について話してあげます。オオカミはなんでも知っていると豪語していたので、子ギツネはオオカミにその動物の名前を聞きました。実はその動物は馬だったのですが、オオカミは馬の名前を知らなかったので、子ギツネは、馬のどころに行って名前を聞いてみます。すると馬鹿にした馬は、オオカミを蹴飛ばしてしまいました。/ニワトリが川の右側を歩いていると向こう岸にいたキツネがついて来ました。キツネは何とか川の向こう岸に渡ってニワトリを食べようと試みます。ニワトリは、キツネに川を戻ったところに橋があると嘘をつき、その間に遠くへ逃げようとします。途中で番犬に逢ったのでもう安心。その夜は番犬と共に一夜を森で明かすことになりました。朝、時の声をあげるとそれに気づいたキツネがニワトリの鳴く木の下にやってきます。しかし、キツネは木の根元の洞で寝ていた番犬を起こしてしまい、散々な目にあいます。
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きこりとヘルメス/田舎ネズミと都会ネズミ
きこりが川の緑で木を切り倒している時に自分の斧を川に落としてしまいました。途方に暮れ泣いていると、ヘルメスが現れ、泣いている理由を聞いてきます。ヘルメスはその男を可哀相に思い、川に潜って金の斧を持って上がり、これがお前の失くした斧かと尋ねます。きこりが違うと答えたため、もうー度潜り、今度は銀の斧を持って来ます。きこりは、それでもないと答えました。三度潜って彼自身の斧を持って上がってきたヘルメスは、彼の心の正しさに喜び、きこりに金と銀、そして彼自身の斧を与えました。/田舎ネズミは田舎での生活が嫌いになり、家出をしました。都会ネズミがいる町へ行き、都会ネズミの家で生活を共にすることになりました。都会での生活に慣れていない田舎ネズミは、見るもの・食ベるもの全てが驚きです。しかし、都会の生活は喜びもあるが危険も多く、落ち着いて食事も出来ません。生活の変化は無いが、都会での不安な生活より、落ち着いて生活が出来る田舎の方が自分には向いていると感じた田舎ネズミは田舎へと戻りました。
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キツネときこり/欲ばりな犬
猟師たちに追われて逃げて来たキツネがきこりを見つけ、自分をかくまって下さいと彼に泣きつきました。彼はキツネに自分の小屋に入って隠れているように勧めました。しばらくすると猟師たちがやって来て、きこりにキツネが逃げて行くのを見なかったかと尋ねました。きこりはロでは見なかったと答えたが、手ぶりでキツネの隠れている場所を示しました。しかし猟師たちは手ぶりに気づかず、立ち去りました。キツネは小屋から出て来て一言のお札の挨拶も無く立ち去ろうとします。うわべでは親切そうに飾っても心が曲がっている人に、お札を言う気持ちにはなれません。/犬が肉を持って川を渡っていました。そして水の中に映る自分の影を見て、もっと大きな肉を持った別の犬がいると思いました。その犬の大きな肉を奪うため、自分が持っていた肉を放り出して飛び掛かりました。そして彼は両方とも失うことになりました。一つはもともと無かったもので、もうーつは川に放り出してしまったため、彼の手には何も残りませんでした。
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めすネコとアフロディテ/盗みをした子と母
一匹のめすネコがー人の若者に恋をし、アフロディテに自分を人間の女の子の姿に変えて欲しいと頼みます。めすネコは綺麗な女の子の姿になりました。その若者は彼女に一目惚れし、結婚することになりました。アフロディテは、めすネコがその身体を変えると共に気性も入れ換えられたかどうか確かめようとして、一匹のネズミを部屋に放しました。すると、彼女は飛び起きてネズミを食べようと迫いかけ始めてしまいました。アフロディテは彼女を怒り、再び元の姿に戻してしまいました。/泥棒が道を引き立てられて行きます。それを見た女はビックリします。何と逮捕されたのは息子ではありませんか。母親は監獄に面会にいきますが、息子は面会を拒否します。母は息子がした行為=盗みを悲しんでいるのではなく、息子が逮捕されたことを悲しんでいたからです。昔、息子がクレヨンを盗んだことがあり、その時母は、クレヨンから友達の名前を消し、新たに息子の名前を書いて息子に使わせました。盗みをしっかりと叱らなかったために今の息子があるのだということが分かりませんでした。
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ライオンとウサギ/毛を刈られる羊
ライオンの親子がいます。狩りに出かけます。シカがいました。シカを追います。ウサギもいました。ウサギも同時に追います。そんなわけで大きな獲物を逃してしまったばかりか、小さなウサギまで捕れずに獲物ゼロで帰ることになってしまいます。二兎を追うものは一兎をも得ずということです。/ケチな女主人がいました。使用人の給料を出し渋ってばかりいます。毛の仲買人が、羊の毛並みを見て良い値で買おうと言ってくれます。毛刈り職人も紹介してくれます。しかし、女主人は毛刈り職人に出すお金をケチって自分で羊の毛を刈ることにします。いざ自分で始めてみるが、羊の肉は削いでしまうし、羊に蹴飛ばされるし散々な目にあい、結局、期日までに仲買人に毛を渡すことが出来ませんでした。
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ワシのおんがえし/子羊と笛を吹くオオカミ
おじいさんと孫が市場に野菜を売りに行く途中、ヘビと闘うワシに出会います。おじいさんと子供はワシを助けてあげます。二人は市場で野菜を売り、そのお金で孫に靴を買って帰ります。孫はうれしくて靴を履かずに手にもって帰りました。その途中で二人は石塀のかげでひと休みします。すると朝助けたワシがやって来て、子供の靴をくわえて飛んで行ってしまいます。怒った子供とおじいさんはワシを追いかけて走ります。なんて恩知らずなワシなんだろうと憤慨しているとワシが靴を地面に落とします。そして後ろを振り返るとさっきまで休んでいた石塀がガラガラと音を立てて崩れました。/オオカミが笛を拾いました。笛を吹いているとそれにウットリした動物が捕まえやすいと発見しました。そんな風にして歌と踊りの好きな子羊を袋小路に追い込むことに成功しました。狼が子羊を食べようとすると、子羊は最後の願いとして狼の美しい笛の音に会わせて踊りたいと頼みます。狼は子羊の最後の願いを聞き入れてあげます。狼が笛を吹き、子羊がそれに会わせて必死に踊っていると、笛の音を聞きつけた番犬が何頭も走ってきて、オオカミをやっつけてしまいました。
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農夫とその子どもたち/キツネとヤギ
農夫には三人の息子がいます。農夫はもう余命幾許もありません。床について息子たちを呼び寄せます。息子は誰一人農業を引き継いでやって行くつもりはないようです。農夫は「畑の葡萄の木の下を掘ってみなさい。そこにお前たちへの財産を残してある」と遺言してこの世を去ります。息子たちは遺言の通り、必死に葡萄畑を掘り起こします。なかなか何も出てきません。その年、よく耕された畑から、宝石のような葡萄がたくさんなります。これが、父親が自分たちに残していった財産だったのだと気づきます。/キツネがお腹をすかせてニワトリを追いかけているときに井戸に落ちてしまいます。そこにウサギが来ました。キツネは井戸の中で水浴びをしているとウサギに言い、紐を投げ入れてくれないかと頼みます。ウサギはちょっと考えて断わります。そこへヤギが来ます。キツネは井戸での水浴びは気持ちが良いと言います。するとヤギはピョンと井戸に飛び込んできました。キツネは井戸からヤギの上に乗って先に出て、後からヤギに紐を下ろして井戸から出るのを手伝ってあげると言います。それを信じたヤギは馬鹿でした。井戸から飛び出たキツネはさっさと何処かへ行ってしまったのです。
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白いカラス/女とめんどり
カラスはハトたちがハト小屋でおいしそうな食べ物を食べているのを見て、自分も御馳走を食ベようと、自分の羽を白く染め、同じ暮しをしようとやってきました。ハトたちもカラスだと気づきません。だが、ある時うっかり鳴き声を発したため、カラスは追い出されてしまい、もとの生活に戻りました。しかし、群れのカラスたちは、色が違うことを理由に彼との生活を拒みました。こうして彼は二つの暮らしを望んだため一つも手に入れることが出来なくなりました。/女がめんどりを飼っていました。毎日一つずつ卵を産んでくれます。もう少したくさん卵を産んで欲しいと思った女はめんどりにせっせと餌を与えます。しかし、それでもめんどりは卵を一日一個しか産みません。おかしいと思った女は一層たくさん餌を与えます。しかし、一日一個です。とうとう餌を食べ過ぎたために、めんどりは死んでしまいました。
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オオカミとおばあさん/キツネとツル
森にお腹をすかせたオオカミがいます。餌を探して歩き回りましたが、今日も獲物はゼロです。ある日、オオカミは赤ん坊をあやしているおばあさんに出会います。赤ん坊は丸まるとしていて、とてもおいしそうです。おばあさんは泣き止まない赤ん坊に「そんなに泣いてばかりいるとオオカミにくれてやってしまうよ」と言いました。それを聞いたオオカミは有頂天です。いつおばあさんが赤ん坊を寄越すかと楽しみに待っています。ところが、いつまでたっても赤ん坊をくれそうにありません。とうとう夜になってしまいました。ベッドで眠る赤ん坊におばあさんが語りかけています。「可愛い子供、悪いオオカミからは私が命がけで守ってあげる」話が違うとオオカミはガッカリです。/いじわるギツネは、御馳走を作ってツルを招待しました。お皿でおいしいスープを出しましだが、ツルは口ばしが尖っているので皿のスープは飲めませんでした。あくる日、ツルがキツネを招待しました。「キツネさん沢山おあがり」とごちそうを壷に入れて出しました。キツネは悔しそうに壷の中を覗きました。「キツネさん、食べやすい入れ物でないと御馳走はたべられませんね」とツルは言いました。
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ワシとキツネ/粉屋とロバ
キツネの夫婦に子供が出来ました。夫婦は仲の良いワシに子供の名付け親になってもらいます。しかし、キツネのお父さんが狩りに出かけている間にキツネの奥さんと子供はワシの餌食になってしまいます。キツネは友達だと思っていたワシの裏切りにやりきれない思いです。しかし、それが弱肉強食の世界なのです。キツネがワシに涙ながらに抗議したその日、ワシはキツネを後に悠然と飛び立ちます。その直後、森に鏡声が響きます。猟師に撃たれたワシは空から落ちてしまいます。/粉屋の親子がロバを市場に売りに行きます。ロバを引いて二人が歩いて行くと、途中で会った人に、ロバがいるのに歩いているなんて馬鹿げていると言われます。そこで、息子をロバに乗せて歩き続けます。すると今度は年老いた親が歩いて、子供がロバに乗っているのは馬鹿げていると言われます。そこで今度は親がロバに乗ります。すると又、非難を受けます。そこで今度は二人で乗ります。すると、ロバがかわいそう、これではロバが売り物にならなくなると言われます。そこで二人はロバを丸太にくくりつけて運びます。ロバが苦しそうです。道行く人には死んだロバを運んでいるのかと言われてしまいます。二人が川を渡る時にロバの重みに耐えられず、ロバを川に落としてしまいます。そしてロバは溺れ死んでしまいました。
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まぬけなロバ/兄弟仲の悪い子どもたち
ロバが塩を背負って川を渡っていました。しかし滑って転んでしまい、水の中に落ちてしまいました。すると水の中で塩が溶けて前より身軽になって起き上がれました。このことに味を占めたロバは、海綿を運んでいるときに、また転んだら前みたいに身軽になれると思い、わざと転びます。すると、海綿は水を吸い上げ、立ち上がることが出来ないくらい重くなってしまいました。/ある百姓の息子たちがよく足弟喧嘩をしました。彼はいろいろと言い聞かせますが、彼らはどうしても喧嘩をやめません。そこで、兄弟に束ねた薪を持ってこさせます。そして、束ねたままで薪を割るよう命じます。しかし兄弟はいくらやってもその薪を割ることが出来ません。しかし、束を解きー本ずつ割ると簡単に割ることが出来ました。「お前たちも兄弟カを合わせて物事に挑めば、この薪のようにカ強いのだよ」と兄弟仲良くやろうと言い聞かせます。
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おばあさんと医者/馬とロバ
ある目を患ったおばあさんが、もし治してくれたらお札をする約束で医者を呼びました。その医者は、彼女に薬を塗ってあげる都度、家の中にある家具を一つずつ持ち帰りました。全ての家具を持ち出したところ、治療の方も終了したので、医者はおばあさんに約束のお札を求めましたが、おばあさんは支払おうとしません。理由を訪ねると、彼女は「治療を受ける前よりも目が悪くなっているようです。治療前は、家具がみんな見えていたのに、今は何一つ見えませんから」と言いました。/馬とロバが荷を背負って歩いています。馬はロバの荷の方が小さいと不満で仕方ありません。馬はお昼に草をたらふく食べて、お腹が痛くなったフリをします。ロバは仕方なく馬の荷を持ってあげます。又、休憩になりました。その時に馬は自分の荷とロバの荷を交換しておきました。ロバは荷が重くなったと感じながらも歩き続けます。夜になり、馬はロバを騙してロバの餌まで食べてしまいました。翌日、自分の体に見合わない荷を持たされている上に疲労が重なっているロバは、馬に自分の命を救うと思って荷を少し持ってくれないかと頼みます。馬はそれを断わります。ロバは歩き疲れて死んでしまいます。主人は馬の背中にロバの荷物を乗せ、且つロバの死体をくくりつけました。
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ワシとカラスと羊飼い/父と娘たち
カラスが飛んでいます。下に羊飼いの子供が見えたので、少しからかってやろうと思います。しかし、いくらからかっても相手にされません。ワシでもないのに、恐れる必要はないと羊飼いは子供に言って聞かせています。カラスはワシのように恐れられたいものだと思います。ある日、羊飼いが羊を追っていると子羊がワシにさらわれてしまいます。それを真似してカラスは、大きな羊の背中に舞い降りました。大きな羊を捕まえてやろうと企んだのです。しかし、羊の背に着地したはいいが、重くて飛び立てません。それどころか、爪が食い込んで羊の背中から抜けなくなってしまいます。カラスは羊飼いに捕まり、羽をむしられてしまいます。/父が嫁いだ娘の様子を見にやって来ます。農家に嫁いだ娘は、夫がいくら働いても雨が降らないので大変だと言います。夫も娘も真面目に働いているのに生活が楽にならない様子をみた父は、心を痛めます。翌日父の願いが通じたのか、雨が降り出します。かぼちゃ畑は潤って見事な収穫が出来ました。父は焼き物師のところに嫁いだ別の娘のところに行きます。すると今度は雨続きのため粘土を乾かすことが出来ずに娘が嘆いています。しかし、父が帰った翌日から空はからりと晴れます。晴れを望む人もいれば、雨を望む人もいるのです。
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ロバとキツネとライオン/ネズミとカエル
気のいいロバが御馳走のあるところにキツネを連れていってあげます。しかし、ロバにとっての御馳走は、キツネにとっては、タダの木の葉っぱです。退屈したキツネが石を藪に投げていると運悪くライオンに当たってしまいます。キツネはラィオンに捕まり、食べられそうになります。そこでキツネは、ライオンにロバを連れてくると約束します。ライオンはキツネを逃がしてやりました。キツネはロバをライオンの落し穴に誘い込もうとします。可愛い女の子がいるとか何とか言ってロバを誘い出そうとしますが、どうもうまく行きません。落し穴の近くまで誘い込んだものの、なかなか落ちてくれません。しかし、遂にロバは落し穴に落ちます。けれどもキツネも一緒に落ちてしまいます。ライオンはまずキツネを穴から出してあげます。キツネが喜んだのも束の間、それはキツネをスープのダシにするためでした。/ネズミが運悪くカエルと友人になってしまいました。カエルはつまらないことを考え、ネズミの足と自分の足を結び付けました。そして沼の淵に近づくと、カエルはネズミを沼底へ引っ張り込みました。カエルは水で生活が出来ますが、かわいそうなネズミは水をたらふく飲んで死んでしまいました。死んでしまったネズミが浮いていると、これを見つけたワシが飛びつき、結ばれたカエル共々連れ去りました。
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王様にえらばれたサル/シカとぶどうの木
獣たちの集会でサルが踊り、それが好評でみんなから王様に選ばれました。おもしろくないキツネは、肉が置いてある罠を見つけて、そこにサルを誘き寄せます。自分は見つけたが王様に食ベていただきたくて見張っていたと言い、それをサルに勧めました。サルは疑いもせずその罠にかかり、そんなノロマなあなたが獣の王様なのですねと嫌味を言われました。/シカが猟師から逃げています。もうダメかと思ったときにぶどうの木の藪に飛び込みます。ぶどうの木はシカの体を隠してくれます。猟師はシカを見失い、大きな木のかげで休んでいます。しばらくしてカサコソという音が、ぶどうの藪の方からしてきます。目を凝らして見るとシカの舌が見えました。安心しきったシカが自分の体を隠しているぶどうの葉を食べていたのです。猟師は鉄砲でシカを簡単に仕留めることが出来ました。
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旅人たちと熊/ネズミたちとイタチ
二人の旅人が道を歩いていました。すると、突然熊が彼らの前に現われたので、一人は急いで木の上に登って隠れました。もうー人は、熊に襲われそうになったので、咄嗟に地面に倒れて死んだふりをします。熊が彼に近づき、匂いを嗅ぎ回るので、彼は必死で呼吸を我慢します。熊が立ち去るのを確認すると、木の上にいた男は彼に、熊が耳もとで何を言っていたのか尋ねます。すると、彼は「今後、仲間が危険な目に会っているときに助けてくれないような人と一緒に旅はしない方が良い」と言ってやりました。/ネズミはイタチに追われるといつも逃げていました。ある日、イ夕チから逃げなければいけないということに疑問を持ったネズミが、一度イタチをぎゃふんと懲らしめてやればイタチもネズミを追わなくなるのでは、と思いました。そこで、仲間を説得してイタチに向かって行きます。しかしイタチには全く歯が立たず逃げ帰ってきます。しかし、そのネズミは懲りずに自分が大将になって仲間を引っ張るからイタチに再度挑戦しようといいます。大将の冠をかぶって意気揚々とイタチに向かって行きます。しかし、イタチにとっては痛くもかゆくもありません。ネズミたちはー目散に逃げましたが、大将ネズミのみ、冠が入口に引っ掛かり逃げ遅れて、イタチの餌食になってしまいました。
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うそつき/カナリヤとコウモリ
ある貧乏人が病気になり、容態がよくなかったので神様に祈り、もし救ってくれたら牛を百匹捧げる約束をしました。神様は、彼を試してやろうと、すぐに元の丈夫な身体にしてあげました。彼はすっかり元気になりましたが、牛など持っていなかったので、作り物の牛を百ほど祭壇に供えました。騙された神様は、お返しに、海岸に行けばお金が見つかるという夢を見させました。彼は有頂天で海岸へ駆けつけたが、待っていたのは海賊で、捕まってしまいました。/カナリヤは歌が自慢です。大きい声で得意になって歌います。洞窟で寝ていたコウモリにまでその声が響いてきます。これでは眠れないと思ったコウモリがカナリヤに注意しますが、そんなことに聞く耳を持ちません。ある日いつものように得意になって歌っていたカナリヤは、周りの動物がー斉にいなくなったのに気がつきません。人間が来たのです。カナリヤは人間に捕まって篭に入れられてしまいます。コウモリの忠告に耳を貸さなかったカナリヤは自由を失ってしまうのです。
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としよりライオンとキツネ/ロバとキリギリスたち
年よりライオンはもう狩りが出来ません。そこでライオンは、洞窟で唸り声をあげ、いかにも死にそうなふりをします。そして心配そうに覗き込んだ動物に声をかけて洞窟に誘い込みます。そして食ベてしまいます。いなくなってしまった動物たちを探してキツネが年よりライオンの洞窟に近づきました。洞窟の入口でライオンに聞いてみます。ライオンは身体が弱って外へ出られないので行方不明の動物を見かけないと言います。そして洞窟の中にキツネを誘います。キツネは洞窟に入ろうとしてはたと気がつきます。何と入口には沢山の動物たちの足跡があるではないですか。しかし、どの足跡も洞窟へ向かう足跡で、出て行く時の足跡がありません。キツネは辛くもライオンの魔の手を逃れました。/キリギリスの美しい鳴き声に聞惚れたロバは、どうすればそんな声が出せるのかと、キリギリスたちに何を食べているのか尋ねます。キリギリスは露を食べていると答えます。ロバはその日から露しか食べないことに決めました。そして、ロバは餓死してしまいました。
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ライオンと農夫/予言者
ライオンが農夫の美しい娘に恋をしてしまいました。農夫の家の扉をドンドン叩いて娘を嫁に寄越せと言います。農夫はライオンになんか娘をやれないと断わります。するとライオンは怒ってドアを突き破って娘をさらって行くと脅します。娘はライオンに牙と爪を切って出直して来て下さいと頼みます。ライオンは牙と爪を切って出直してきます。こうなれば農夫もライオンなんか恐くありません。ライオンを追っ払ってしまいました。/予言者が市場で予言をしてお金を稼いでいました。すると、ある人が彼に近づいてきて、あなたの家の窓が開いており、家の中のもの全て持ち出されていたと知らせました。予言者はビックリして自分の家へ確認に行きます。そばにいた人がこれを見て「あなたは他人の運命を予言することは出来ても自分のことは予言することが出来ないのですね」と言いました。
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金の卵を産むニワトリ/ワシとカブトムシ
ある人が、美しい金色の卵を産むニワトリを持っていました。彼は、ニワトリのお腹の中に金の塊があるはずだと思い、ニワトリを殺してお腹の中を調べます。しかし、他のニワトリと変わりなく普通のお腹でした。彼はまとまった金を求めたため、少ない利益さえも失うことになりました。/ワシがウサギを捕まえました。カブトムシがウサギの命ごいに来ます。しかし、ワシはカブトムシの願いなど聞かずにウサギを食べてしまいます。カブトムシはワシに復讐を誓います。ある日、ワシが巣に戻ってみると卵がありません。カブトムシが地面に落としてしまったのです。悲観に暮れてワシは別のどころで卵を産みます。しかし、またカブトムシが来て卵を落としてしまいました。ワシは神様に頼みますが、神様のところまでもしつこくカブトムシがやって来て卵を妨害します。そんなわけでワシはカブトムシがいる時期は卵を産まないのです。
スタッフ
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キャラクターデザイン
熊田勇 -
プロデューサー
田中栄子 -
作画監督
石之博和
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制作
日本アニメーション -
演出
岡部英二 -
絵コンテ
黒川文男 -
美術監督
海老沢登代 -
脚本
田辺満 -
音楽
赤坂東児
キャスト
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ダン
つかせのりこ -
チー
川島千代子 -
トン
山本圭子