銀河英雄伝説
エピソード
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永遠の夜の中で
宇宙暦796年/帝国暦487年。ラインハルト・フォン・ローエングラムは2万隻の艦隊を率いて自由惑星同盟領に進攻した。同盟軍は帝国軍に倍する4万隻の艦隊をもってこれを迎え撃つ。誰もが同盟有利を疑わず、帝国軍の内部からも撤退の声が上がる中、ラインハルトは同盟軍艦隊が集結するのを待たずに急進。第四、第六艦隊を各個撃破戦法にて葬り去る。意気の上がる帝国軍は、残る第二艦隊へと矛先を向けるが、そこにはラインハルトの戦略を見抜く、ヤン・ウェンリーの存在があった……。
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アスターテ会戦
同盟軍第四、第六艦隊を撃破して意気の上がる帝国軍は、残る第二艦隊に対し総攻撃をかける。予想外の方向から攻撃を受けた第二艦隊は、旗艦パトロクロスまでもが被弾。パエッタ司令官が重傷を負ってしまう。指揮権を委譲されたヤンは、ラインハルトの戦術を読み切っていた。勝利を完全なものにするべく中央突破を図った帝国軍に対し、ヤンは自軍が分断されたと見せかけた上で敵の背後に回り込み、猛烈な反撃を開始する。こうしてヤンは自軍の崩壊を食い止め、帝国軍に一矢報いたのだった。
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第十三艦隊誕生
同盟首都ハイネセンでの「アスターテ会戦戦没者追悼式典」を仮病で欠席したヤン。その会場にヤンの旧友、ジェシカが現れた。彼女はアスターテ会戦で戦死したヤンの親友、ラップの婚約者だった。彼女は舌鋒鋭くトリューニヒト国防委員長を弾劾する。テレビ中継でこれを見たヤンは、後輩のアッテンボローと会場に向かい、憂国騎士団なる集団に襲われそうになっていたジェシカを間一髪で救い出す。
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帝国の残照
アスターテ会戦の功績により、ラインハルトは帝国元帥に昇進した。王宮での元帥杖授与式の後、ラインハルトは姉であるアンネローゼとの面会を許される。彼と共にアンネローゼの館に向かうキルヒアイスの脳裏には、幼き頃の思い出が蘇っていた。美しい金髪の姉弟が隣の家に引っ越してきた日。三人で過ごした幸せな時間。そして、皇帝の寵姫としてアンネローゼが連れ去られた日のこと。彼女を救うため、彼ら二人は帝国の打倒を誓ったのだった。
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カストロプ動乱
銀河帝国の地方領主マクシミリアン・フォン・カストロプは、父親が不正に蓄財した財貨の返還を求められるが、これを拒絶し、帝国に叛旗を翻す。説得に訪れたマリーンドルフ伯を人質にした彼は、フェザーンより調達した無人戦闘衛星を頼みにカストロプ星系に籠城。ラインハルトの推挙を受け、彼の腹心であるキルヒアイスに叛乱鎮圧の勅命が下る。彼は大胆不敵な戦術を用いて無人戦闘衛星を無力化し、わずか数日で叛乱を鎮圧。この鮮やかな手腕に、帝国の提督たちも賛嘆の声を上げるのだった。
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薔薇の騎士
新たに創設された第十三艦隊の司令官となったヤン。彼に下された最初の任務は、帝国軍の軍事拠点、イゼルローン要塞の攻略だった。ヤンの幕僚には、美しく聡明な副官、フレデリカをはじめ、個性的な面々が揃う。中でも注目を集めたのは「薔薇の騎士連隊」の隊長、シェーンコップだった。ヤンは彼に、イゼルローン要塞攻略の秘策を打ち明ける。本作戦に対するヤンの思いを聞いたシェーンコップは、不敵な笑いと共に協力を約するのであった。
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イゼルローン攻略!
イゼルローン要塞に、同盟軍の攻撃により損傷した1隻の軽巡航艦が入港する。ラーケンと名乗る巡航艦の艦長は、同盟軍のイゼルローン要塞攻略作戦を入手したと語り、要塞司令官シュトックハウゼンに面会を求める。実は、彼こそが変装したシェーンコップだった。司令官を人質に取り、計画通り要塞を手中に収めたと思われたが、一士官の思わぬ抵抗で要塞の全機能が停止してしまう。このままでは第十三艦隊が危ない。シェーンコップらは、要塞中枢部を目指す。
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冷徹なる義眼
難攻不落を誇ったイゼルローン要塞は、遂に同盟軍の手に落ちた。イゼルローン駐留艦隊の参謀、オーベルシュタイン大佐は、司令部で唯一の生存者として要塞陥落の責を負わされる。彼はラインハルトのもとを訪れ、自らが帝国を憎む理由を語った。ラインハルトはオーベルシュタインを自陣営に迎えると決め、帝国軍上層部に彼の助命を申し出る。しかしキルヒアイスは、オーベルシュタインの登用がラインハルトの覇道に暗い影を落とすのでは、と予感するのだった。
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クロプシュトック事件
クロプシュトック侯は、帝国門閥貴族の名門だったが、フリードリヒⅣ世が即位する際の権力闘争に敗れて以来、社交界から追放されていた。この日、久しぶりにブラウンシュヴァイク公のもとを訪れた彼は、近々ブラウンシュヴァイク公が開くという皇帝臨席のパーティーへ自らも出席出来るよう懇願する。かつての仇敵に膝をかがめられた公はその願いを聞き容れるが、それは恐ろしい事件の幕開けでもあった……。
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ジェシカの戦い
テルヌーゼン市にある士官学校の記念式典に招待されたヤン。しかし、代議員補欠選挙の主戦派候補者の出迎えを受け、その選挙宣伝に利用されてしまう。そんなヤンを今度は反戦派の対立候補、ソーンダイクの支持者が襲う。そこに駆けつけヤンを救ったのは、ジェシカだった。反戦派候補の選挙運動メンバーとして活動するジェシカ。二人は懐かしい士官学校を訪れ、過ぎた日々を振り返る。
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女優退場
ベーネミュンデ侯爵夫人は、かつて皇帝の寵愛を一身に受けていた。しかし、今や皇帝の愛情と関心はアンネローゼに移った。自らの地位を奪ったとして、アンネローゼを深く恨む彼女のもとに、フレーゲル男爵が近づく。ベーネミュンデ侯爵夫人は計略をもってアンネローゼを誘い出し、平民との心中を装って彼女を謀殺しようと試みるが、キルヒアイスらの素早い行動で事態は未然に防がれる。皇帝はベーネミュンデ侯爵夫人に自らの命をもって罪を償うよう命じるのだった。
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帝国領侵攻
イゼルローン要塞の奪取により、戦争が終結すると期待していたヤン。しかし、軍部はさらなる攻勢を計画していた。同盟政府の中には、人材の多くを軍に徴用されたことで社会システムが疲弊している、今は国力回復を図るべきと主張する者もいたが、次の選挙のため勝利を求める声はより大きかった。一方、軍部の作戦会議の席上では、作戦立案者のフォーク准将が空虚な演説を振るっていた。
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愁雨来たりなば…
同盟軍による帝国軍侵攻作戦の情報を得たラインハルトは、侵攻してきた同盟軍艦隊を帝国領深くに誘い込み、補給線が延びきったところを叩く方針を定めた。さらに同盟軍の兵站に負担をかけるため、同盟軍の進路にあたる辺境惑星から食料や物資を徴発するよう命じる。クラインゲルト子爵領に派遣されたケスラーの顔色は冴えなかった。ここには、彼がかつて想いを交わした女性、フィーアが嫁いでいるのだった。
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辺境の解放
帝国領内に進攻した同盟軍艦隊は、さしたる抵抗も受けぬまま占領地を拡大しつつあった。彼らが「解放」した惑星では食料や物資が極端に不足していたが、「解放者」を任じる同盟軍は、民衆に生活の保障と安定を約束する。しかし、占領地の拡大と共に、前線から要求される物資の量も増大していった。キルヒアイスにより補給部隊が撃滅されると、困窮した同盟軍は逆に民衆からの略奪を始める。そして、遂に帝国軍の反攻作戦が開始された。
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アムリッツァ星域会戦
補給線を断たれて物資が欠乏した同盟軍艦隊に、帝国軍艦隊が襲いかかる。同盟軍の各艦隊は大きな損害を出し、ウランフ、ボロディン、アル・サレムら、練達の艦隊司令官を喪う。ヤン率いる第十三艦隊も、眼前の敵に対応するのが精一杯の状況だった。同盟軍総司令部は、敗走する艦隊をアムリッツァ星域に集め、戦力の再編成を図る。帝国軍艦隊も次々と集結、戦いは最終局面を迎えるのだった。
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新たなる潮流
アムリッツァ星域会戦にて幕を閉じた同盟軍の「帝国領進攻作戦」は、参加した3000万の将兵のうち、実に3分の2を喪う歴史的大敗となった。しかし、ラインハルトは不機嫌な表情を隠さない。黒色槍騎兵艦隊を率いるビッテンフェルトの失策により、またしてもヤンに完勝を阻まれたのだ。ビッテンフェルトに罰を加えようとするラインハルトを、キルヒアイスは諫める。そこに飛び込んできたのは、銀河帝国皇帝フリードリヒⅣ世崩御の報であった。
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嵐の前
フリードリヒⅣ世崩御に伴い、帝国の門閥貴族の間では、皇帝の後継者を巡る争いが始まった。リヒテンラーデ公の陣営に与したラインハルトは、ブラウンシュヴァイク公ら、もうひとつの陣営との闘争の最中に同盟軍が帝国に侵攻することがないように、ある策を施す。それは、かつてのヤンの上官で、惑星エル・ファシルから民間人を見捨てて逃走し、帝国軍の捕虜となっていたリンチ少将を用いるものだった。
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リップシュタットの密約
ブラウンシュヴァイク公、リッテンハイム侯を中心とした門閥貴族らは、「リップシュタット連合」を結成、ラインハルトとリヒテンラーデ公の陣営に対抗すべく動き出した。ちょうどその頃、ラインハルトの居室をヒルダが訪ねていた。彼女は、マリーンドルフ家はラインハルト陣営に味方すると語った。ガイエスブルク要塞に集結したブラウンシュヴァイク公ら「賊軍」を討つべく、ラインハルトが出撃する。リップシュタット戦役が始まったのだ。
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ヤン艦隊出動
アムリッツァ星域会戦の際、心身に失調を来たし予備役に編入されていたフォーク准将。病院を出た彼は、統合作戦本部長クブルスリー大将を襲い重傷を負わせる。その事件と時を同じくし、同盟領各地で暴動が発生する。この鎮圧を一手に任されたヤン艦隊。人使いの荒さに不平を鳴らしつつ出撃準備を急ぐ彼のもとに、遂にクーデター勃発の知らせが。「救国軍事会議」を名乗り、首都星を制圧した彼らの首謀者は、意外な人物だった……。
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流血の宇宙
リップシュタット連合とラインハルト陣営の戦いが始まった。「賊軍」艦隊を率いるのがシュターデンと知ったラインハルトは、かつて士官学校で彼に用兵を学んだミッターマイヤーに相手をさせる。「疾風ウォルフ」の異名に似つかわしくない戦術に不審を抱いたシュターデンは慎重に兵を進めようとするが、血気にはやる若手士官たちが急進、敗北を喫する。シュターデン艦隊が逃げ込んだレンテンベルク要塞には、卓越した白兵戦技を誇る猛者、オフレッサー上級大将がいた。
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ドーリア星域会戦、そして…
救国軍事会議に制圧されたはずのハイネセンから一人の男が脱出し、ヤン艦隊に合流した。バグダッシュと名乗る彼は、救国軍事会議が送り込んだ刺客だったが、フレデリカの並外れた記憶力のおかげでその企ては阻止された。救国軍事会議のメンバー、ルグランジュ司令官率いる第十一艦隊はイゼルローン要塞を攻略するべく進撃していたが、ヤンはこれをドーリア星域で捕捉、撃破する。同じ頃ハイネセンでは、ジェシカらがクーデターに反対する市民集会を開催していた……。
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勇気と忠誠
リップシュタット連合の副盟主でありながらブラウンシュヴァイク公と袂を分かったリッテンハイム侯は、麾下の艦隊5万隻と共にガイエスブルク要塞を離れ、辺境星域に向かっていた。わずか800隻の艦隊でこれを迎え撃ったキルヒアイスは、ワーレン、ルッツとの連携によって、勝利を収めた。追撃を受けた彼は、レンテンベルク要塞に逃げ込もうとするが、進路上には彼の味方である補給部隊が展開していた……。
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黄金樹は倒れた
ブラウンシュヴァイク公は、自らの領地である惑星ヴェスターラントで叛乱が起こり、領主である甥が殺害されたことを知った。彼は激怒し、ヴェスターラント全土を熱核兵器で焼き払うように命令。これを知ったラインハルトは、直ちに阻止を命じようとするが、オーベルシュタインは異を唱える。敢えて核攻撃を看過し、その非人道的な行いを帝国全土に知らしめることで、リップシュタット連合から民心を離反させるべきというのだ。苦悩するラインハルト。そして、遂に……。
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誰がための勝利
第十一艦隊の敗北、「スタジアムの虐殺」事件などにより、救国軍事会議は民心を失いつつあった。さらにヤンが「救国軍事会議はラインハルトに使嗾された集団」と発表したことが、人々に大きな衝撃を与える。ヤンは、救国軍事会議が最後の頼りとする軍事戦闘衛星「アルテミスの首飾り」を一撃で破壊し、彼らの士気を挫いた。救国軍事会議の幹部らは、自らの正義を主張しつつ自決。こうして、自由惑星同盟軍のクーデターは終息した。
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運命の前日
リッテンハイム侯を倒し、ガイエスブルク要塞に帰還したキルヒアイスを出迎えるラインハルト。しかし、キルヒアイスの表情は硬かった。政治宣伝に利用するため、ヴェスターラントへの熱核攻撃を黙認したと認めたラインハルトに、キルヒアイスはむしろ悲しげにその行いを諫めた。しかし、ラインハルトは彼を退け、以後はオーベルシュタインの助言通り、彼を他の部下と同列に扱うことを決める。自らの分身ともいうべき友を遠ざけた、この決断が大きな悲劇を招くことになる。
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さらば、遠き日
リップシュタット盟約軍を討ち果たし、戦勝記念式典に臨むラインハルト。ブラウンシュヴァイク公の忠実な部下、アンスバッハは、主君の死体と共に現れる。突然、ラインハルトを襲うアンスバッハ。キルヒアイスはラインハルトの盾となって、その攻撃を受け止めた。忠実な友の死に茫然自失となるラインハルト。一方、オーベルシュタインは、この機を逃さず、かつての盟友リヒテンラーデ公を排除する。銀河帝国の国璽を手にしたラインハルトは、銀河帝国の実権を握った。だが、その夢を共に目指した親友は、もはやどこにもいない……。
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初陣
The Imperial fleets adopt a tactic of attrition via rotations. The Müller fleet, Mittermeyer's subordinates, Bittenfeld and many other Admirals rotate on the battle line. Yang's fleet, with less that 20,000 ships left fights on with no rotations in manpower. Bittenfeld's elite troops cause a fatal blow to Yang's fleet. Admiral Fischer, the one in charge of Yang's fleet maneuvers is killed in battle. Reinhard passes out from sickness. A ceasefire is announced. The Yang fleet passes out in Iserlohn.
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肖像
Reinhard confides in Hildegard that his memories of Kircheis motivated him towards ceasefire talks. Yang discusses the situation with his staff. The death of Fischer basically cut off the legs from Yang's fleet. Yang decides to accept the ceasefire talks. Yang leaves Iserlohn with minimal military personnel and the politicians from El Facil. Fork's ship finds Yang's ship en route to the Imperial fleet. Behind Fork two Imperial destroyers fire on Fork, killing him. Back on Iserlohn, the crew receives word of an assassination attempt by Fork. The Imperial ships requests a meeting with Yang. The crew behind the ships are in reality Earth Cultists in disguise. Patrichev and many others are killed defending Yang. Schenkopp with his Rosen Ritter arrive on Yang's ship. Yang is shot in the leg. June 1st, 800 S.C. / 2 N.I.C.: Yang Wen-li dies from blood loss at the age of 33.
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細い一本の糸
Julian finds Yang's body. The Yang staff return to Iserlohn. The crew of Iserlohn enter mourning. Julian tells Frederica about Yang's death. It is decided by Yang's remaining staff that Frederica will assume the role of political leader. Julian is considered to be the next military leader. Julian accepts the role of military leadership after talking with Frederica. Unrest within Iserlohn grows and there is talk of desertion. Admiral Murai speaks with Julian and gives him his resignation. Murai intends to fulfill his last task for Yang by taking all dissidents from Iserlohn with him as a desertion leader. The remaining leaders of El Facil abandon the Yang fleet.
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失われたもの
ケッセルリンクは、フェザーンに亡命していたシューマッハやランズベルクと接触し、「ある計画」への参加を呼びかけていた。その頃同盟では、フェザーンの使嗾により、ヤンに対し査問会に出頭するよう召喚命令が発せられていた。一方帝国では、ガイエスブルク要塞のワープが成功し、ラインハルトがイゼルローン回廊への進攻を正式に決定する。この作戦の遂行に懐疑的なヒルダは、改めてキルヒアイスの喪失の大きさを思うのだった…。
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査問会
ハイネセンに召喚されたヤンとフレデリカは、到着早々引き離されてしまう。軍の施設に軟禁同然に閉じ込められたヤンは、法的根拠のない査問会に引き出され、様々な事柄について詰問される。一旦解放されたヤンは怒りにまかせて辞表をしたため始めるのだった。一方、ヤンを救出しようと奔走するフレデリカたちは、現在のハイネセンがトリューニヒトに政府、軍、マスコミに至るまで全て押さえられていると知り、絶望的になるのだった。
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武器なき戦い
帝国軍がガイエスブルク要塞をワープさせて急接近して来ることが判明し、イゼルローン司令部は慄然とする。その頃、ハイネセンではヤンの査問が続いていた。しかし、ついに忍耐の限界に達したヤンが辞表を叩きつけようとした正にその時、帝国軍侵攻の急報が入ったのであった。同盟政府としてはヤンをイゼルローンに戻す他に道はなく、ヤンは自由の身となる。ヤン不在のイゼルローン司令部には、ケンプからの宣戦布告が届いていた。
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要塞対要塞
イゼルローン要塞に突き刺さるガイエスブルク要塞主砲ガイエスハーケン。その威力に脅威を感じつつも主砲で応戦する同盟軍。ケンプは続けて陸戦隊を送り込むが、「薔薇の騎士連隊」に撃退され、戦線は膠着状態となる。ヤンの不在を敵に悟らせないため迂闊に動けない同盟軍に焦りの色が見え始める。そんな中、イゼルローン要塞外壁の破壊に成功したミュラー艦隊。その際捕らえた同盟兵がヤンの不在を自白したと聞いたミュラーは…。
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帰還
ミュラーはヤン不在の情報は真実であるとの判断を下し、帰還して来るヤンを捕らえようと兵を動かす。しかし、その情報をヤンの策略と断じたケンプに撤収を命じられてしまった。戻って来たヤンと、鋭い洞察力でケンプの作戦を見抜いたユリアンとの間で、期せずして連携が生まれ、帝国軍は撃退される。完全に劣勢となったケンプは、形勢挽回を狙う最後の手段としてガイエスブルク要塞をイゼルローン要塞に衝突させようとするが…。
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決意と野心と
ケンプ救援のためイゼルローンに向かったミッターマイヤーとロイエンタールは、敗走する友軍を追撃してきた同盟軍を殲滅して帰還する。敗戦を知ったラインハルトは、ミュラーを処断しようとするが、キルヒアイスを想起して思いとどまった。オーベルシュタインはヒルダの献策があったのではないかと問い質す。ヒルダは、支配者としての冷徹さのみを求める彼の態度に危機感を抱き、ラインハルトの心性を守らねばならないと決意する。
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雷鳴
リップシュタット連合の残党が、フェザーンの手引きで帝国に密入国したとの報告が入った。ラインハルトは、彼らの目的が皇帝誘拐であることを推察し、フェザーン高等弁務官ボルテックを呼び出す。彼は、フェザーンがラインハルトの同盟併呑に協力するのと引き換えに経済上の権益を独占する、という計画を告げた。しかし、それを読んでいたラインハルトは、フェザーン回廊の自由航行権を要求。ボルテックは答えに窮するのだった…。
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幼帝誘拐
シューマッハとランズベルクは、幼帝エルウィン・ヨーゼフII世を拉致し、同盟に亡命させようと新無憂宮に潜入する。ラインハルトがそれを知りながら宮廷の警備を緩めていたために、皇帝誘拐は難なく成功した。急遽集められた提督たちに、ラインハルトは誘拐事件の発生を告げる。彼らは驚くが、ヒルダはこの事件の真相に気づいており、ミッターマイヤーとロイエンタールもまた、この先同盟への大規模な出兵があることを予感していた。
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矢は放たれた
帝国軍の動きもなく平穏な日常を送るイゼルローン要塞に、ハイネセンからの緊急放送が入る。エルウィン・ヨーゼフII世の自由惑星同盟への亡命と、同盟政府が後援する「銀河帝国正統政府」樹立の発表であった。同盟政府の愚考に呆れつつも、ヤンは、ラインハルトが同盟攻撃の大義名分に用いるために、この事件の裏で糸を引いた可能性を考えていた。その思考の正しさを証明するかのように、ラインハルトの通達が全宇宙に流される…。
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ひとつの旅立ち
ユリアンのフェザーン高等弁務官事務所への転任が発令された。ユリアンは、同じように衝撃を受けるヤンの心情までは推し量れず、命令に従うべきとのヤンの反応にショックを受ける。ヤンは改めて、帝国軍がフェザーン回廊を経由して同盟領に侵攻してくる可能性を語り、信頼のおける人物にフェザーンの内情を探って欲しいと告げた。フェザーン行きを決意したユリアンは、出立を前にしてイゼルローンの人々に暖かく見送られるのだった。
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ユリアンの旅・人類の旅
ユリアンはハイネセン到着までの時間で改めて人類の歴史を振り返る…。人類社会に訪れた停滞の時代に、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムという革新的英雄が登場した。大衆の支持を集め銀河帝国皇帝となった彼は、権力欲に駆られるようになり、反抗者を徹底的に弾圧した。しかし、共和主義者の一人であったアーレ・ハイネセンがその支配下からの脱出に成功。その後、彼の遺志を継ぐ者たちが自由惑星同盟を成立させたのであった。
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作戦名『神々の黄昏』
ラインハルトの同盟への宣戦布告は、帝国民衆の圧倒的な支持を得た。彼らは門閥貴族が中心の「銀河帝国正統政府」の存在を許さず、後援する同盟政府へも敵愾心を燃やした。ラインハルトは、麾下の諸提督に対し、自由惑星同盟への進攻作戦を発表する。イゼルローン要塞への攻撃は陽動作戦にすぎず、本隊はフェザーン回廊を抜けて進撃するという構想である。作戦名は「神々の黄昏」――。その響きは歴戦の提督たちの心をも高揚させた。
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鎮魂曲への招待
フェザーンに到着したユリアンの歓迎パーティが開かれた。そのパーティでのユリアンの言動から、同席したケッセルリンクはヤンが今回の作戦を全て洞察しているのではないかとルビンスキーに報告する。その頃、ロイエンタール艦隊がイゼルローン回廊に現れていた。ここに「神々の黄昏」作戦の火蓋が切られた…!
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ギャラルホルンは鳴った
ロイエンタール艦隊が仕掛けてきた先制攻撃に対しヤンは駐留艦隊を出撃させるが、逆に主砲を封じられてしまう。優勢となったロイエンタールだが、ヤンの旗艦ヒューベリオンを見出して武勲を焦り、同盟の強襲揚陸艦に攻め込まれてしまう。激しい一騎討ちを演じるロイエンタールとシェーンコップ。勝負はつかなかったが、ロイエンタールが艦隊を引き、再び戦線は膠着する。オーディンからは増援としてミッターマイヤー艦隊が進発した。
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フェザーン占領
ミッターマイヤー艦隊の真の目的はフェザーンの制圧であった。惑星フェザーンの周辺は帝国艦隊で埋め尽くされる。ケッセルリンクはこの機に乗じてルビンスキーの暗殺を謀るが、それを見越していたルビンスキーは逆に彼を射殺し、何処かへ消えた。ラインハルトがフェザーンの地に降り立った。「ジーク・カイザー!」の叫びが彼を迎える。フェザーン航路局に向かった彼は、同盟領の航路図を前にして、亡き友に語りかけるのであった…。
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寒波到る
フェザーンが帝国軍によって武力制圧されたとの報は、同盟全土を混乱の渦に巻き込んだ。責任を追及されるべきトリューニヒトは失踪し、代わって政府を牽引したのはアイランズであった。彼は、ビュコックに協力を要請し、ビュコックは新たに参謀長に任命されたチュン少将と共に、残り少ない同盟軍の兵力を再編成しようとする。だが、どうしても必要なのは、今イゼルローン回廊にてロイエンタール艦隊と対峙しているヤンの智略であった。
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ヤン提督の箱舟隊
ビュコックの書簡に応えて、ヤンはイゼルローン要塞の放棄を決定する。参謀長ムライ以下、部下たちは一様に耳を疑ったが、ヤンはその必然性を説く。これこそが帝国に対して勝機を得る唯一の方法である、と。アッテンボローの作戦により、ヤン艦隊はイゼルローン要塞からの脱出に成功し、ロイエンタールは要塞に入城する。「お前も国を奪ってみろ」要塞内で横領犯の処刑に立ち会ったロイエンタールは、誰にともなくそう呟いていた…。
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自由の宇宙を求めて
ラインハルトのもとに、ヤンがイゼルローン要塞を放棄したとの報告がもたらされた。戦場で自分を倒すというヤンの狙いを察知したラインハルトは、それでも敢えて先陣は自らが率いると将兵たちに告げるのだった。その頃、商船でフェザーンを脱出していたユリアンは、麻薬漬けにされたデグスビィ司教と出会い…。
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双頭の蛇 ~ランテマリオの決戦~
ランテマリオ星域で対峙する帝国軍と同盟軍。“双頭の蛇”陣形をとる帝国軍に対し、同盟軍は地の利を生かして善戦するものの、帝国軍の切り札黒色槍騎兵艦隊の投入で、一気に崩壊していく。敗戦の責を取るべく自殺を決意するビュコックだが、チュンに諭されて思いとどまる。その時突然、後方からヤン艦隊が出現し、帝国軍の動揺を衝いてビュコックは撤退した。再びヤンによって完全勝利を逃したラインハルトは、「天敵」の存在を実感する。
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闇が深くなるのは…
ハイネセンに帰還したヤンは元帥へと昇進する。同じ頃、高等弁務官を救出し、帝国軍の駆逐艦を奪って敵地からの脱出に成功したユリアンも、ハイネセンで若き英雄としてもてはやされていた。ようやく再会を果たした二人は、様々なことを語り合う。ユリアンから語られたフェザーンと地球教の繋がりにヤンは興味を抱く。一方、今後の作戦行動が定まらない帝国軍では、ラインハルトが過労から発熱していた。病床で彼が思い返すのは…。
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連戦
戦場でラインハルトを倒せば帝国軍は瓦解すると考えるヤンは、同盟領内で大がかりなゲリラ戦を行い、帝国の各将を次々と打ち破る。シュタインメッツ、レンネンカンプ、ワーレン…相次ぐ敗戦の報にラインハルトの怒りは頂点に達した。ヤンの思惑を見越しているラインハルトは、我が身を囮としてヤンをおびき寄せ、後に味方を反転させてヤン艦隊を包囲するという作戦をとる。さらにもう一つ、彼には勝利を確信する秘策があった。
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バーミリオンの死闘(前編)
ラインハルトとヤン、両者の衝突が確実となった。決戦を前にヤンはフレデリカに求婚する。11年前エル・ファシルで出会って以来彼を想い続けていたフレデリカは即座に承知する。フレデリカに憧れていたユリアンは、苦い酒を飲みつつ祝福するのだった。そして、ついにバーミリオン星域において両雄の決戦が開始された。後の歴史家から「死闘」と称されるこの激戦は、双方による艦砲射撃の応酬という極めて平凡な形で始まったのであった。
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バーミリオンの死闘(後編)
決戦に際してラインハルトのとった作戦は、幾層にも艦列を並べて間断ない攻撃を加えながら同盟軍に消耗戦を強いるというものであった。それを看破したユリアンの意見に耳を傾けたヤンは、囮部隊を使って中央突破を図り、自ら率いる主力軍でラインハルトの本営に肉迫する。援軍として現れたミュラー艦隊の奮戦も虚しく、ヤンはラインハルトの旗艦ブリュンヒルトを射程に捉える。人類史上最高の英雄の生涯が、閉じようとしていた…。
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急転
ブリュンヒルトを射程に捉えた正にその時、「無条件停戦命令」がハイネセンからヤンに伝えられた。勝利を目前にしてヤンは攻撃を中止する。この裏にはヒルダの活躍があった。彼女は、独断でミッターマイヤーとロイエンタールをハイネセンに向かわせて降伏を要求したのである。ヤンはメルカッツに少数の兵を率いて一旦姿を隠して貰うことにする。ポプランやリンツらも彼に付き従うことを宣言した。来るべきヤン艦隊の復活を信じて…。
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皇帝ばんざい!
ラインハルトに望まれてヤンはブリュンヒルトに赴き、両雄の対面が実現する。ラインハルトはヤンを麾下に招きたいと申し出るが、ヤンはあっさりとそれを断った。彼は、やがて専制君主となるラインハルトに、敢えて民主共和制の意義を語るのだった。その後、「バーラトの和約」を締結したラインハルトは、ほぼ全宇宙を統治下に置き、正式に銀河帝国皇帝に即位する。しかし、彼が誰よりも祝福して欲しかった二人の姿は、そこになかった。
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儀式から再び幕は上がり…
宇宙暦799年/新帝国暦1年、ラインハルト・フォン・ローエングラムは、亡き親友キルヒアイスとの約束を果たし、新銀河帝国の初代皇帝となった。一方、自由惑星同盟では、軍を退役したヤン・ウェンリーが、フレデリカ・グリーンヒルとささやかな挙式を行っていた。そんな中、ユリアンは地球教の実態を探るべく地球へと旅立った。二人の英雄の休息は束の間で、歴史は激動の時代に向けて静かに動き出していたのである…。
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地球へ
親不孝号の中でユリアンは地球の歴史を振り返る――。熱核兵器を使用した全面戦争を経験した人類は、地球統一政府を設立して宇宙への進出を目指した。やがて恒星間移住時代が訪れると、資源の枯渇した地球は植民星から富を収奪し始める。その後続いた植民諸惑星との長い紛争の中でかつての栄光を失い、忘れられた存在となった地球において、地球教は単なる宗教以上の隠された目的を持っているのではないかと、ユリアンは考えていた。
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キュンメル事件
ユリアンたちが地球へと近づきつつある頃、新帝国では地球教徒が一つの謀略を企てていた。ラインハルトは皇帝となって最初の行幸としてマリーンドルフ伯の甥、キュンメル男爵邸へと赴くことにする。生まれつき病弱で明日をも知れぬ命のキュンメル男爵は、下級貴族から皇帝の座へと自力で登りつめたラインハルトと比較して、自分の無力さを痛感していた。そこにつけこまれた彼は地球教の陰謀に手を貸し、ラインハルトを暗殺しようとしていた。
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訪問者
キュンメル男爵による皇帝暗殺未遂事件は地球教の陰謀であることが判明し、地球教討伐軍の司令官に任命されたワーレンが、地球へと出撃した。マリーンドルフ親子は謹慎が解かれ、前王朝から行われてきた一族が罪に連座するという風習が、ラインハルトによって断たれることとなった。一方で、同盟軍の捕虜からの情報として、メルカッツが生きているという噂が流れていた。帝国軍幹部たちの間に不穏な空気が漂い始める……。
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過去と現在と未来と
ラインハルトは、ゴールデンバウム王朝全史調査の中間報告書を読んでいた。帝国始祖ルドルフ以降の歴代皇帝の様々な行跡を記した文書を読みながら、ラインハルトは冷笑しつつも、ローエングラム王朝の未来について思いを馳せるのであった。一方、自由惑星同盟首都ハイネセンポリスでは、ヤンとフレデリカが平和な新婚生活を営んでいた。しかし、帝国高等弁務官レンネンカンプの命令によってヤンの日常生活の監視は強化されていた。
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魔術師捕らわる
ヤンからの伝言により、メルカッツ艦隊は廃棄処分となる同盟軍戦艦・宇宙母艦の強奪に成功した。レンネンカンプは同盟政府にヤンを逮捕するよう勧告し、レベロは悩んだ末それに従う。オーベルシュタインはヤンを帝国に護送させ、出撃してきたメルカッツを討って反帝国分子を根絶やしにするという策をレンネンカンプに提案する。ヤンは尋問の最中に、自分の逮捕に法的根拠のないことを知り、事態の深刻さに身の危険を感じ始めていた。
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歌劇への招待
同盟軍の襲撃から逃れたシェーンコップとアッテンボローは、フレデリカを始めとする旧ヤン艦隊のメンバーと合流してレベロを急襲、拉致した。そしてレベロを人質にヤン解放を求めて統合作戦本部を脅迫し、同時にその交渉の内容を帝国軍にもリークした。窮地に陥った統合作戦本部長のロックウェルはヤンを抹殺しようと…。
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血の流水階段
救出されたヤンはレベロと会見し、ある取引を持ちかける。それは、レンネンカンプを人質にとって同盟を離れるかわりに、自分たちと元部下たちの安全を保証させるというものだった。「薔薇の騎士連隊」は凄絶な白兵戦の末、レンネンカンプの拉致に成功。しかし、ヤンとレベロと会わされたレンネンカンプは全てを知り、絶望のうちに自殺してしまう。ヤン一党は、その死体に化粧を施して生きているように見せかけ、ハイネセンを脱出する。
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聖地
地球への途上でワーレンは地球教狂信者に襲われ片腕を失う。地球教本部に潜入していたユリアンらは、信者の異様な様子から食事に麻薬が混入されていることを察する。それをきっかけに行動を起こし始めた時、帝国軍も地球教本部への攻撃を開始した。ユリアンらはフェザーン商人を装って帝国軍に協力し、教団の秘密資料を手に入れることに成功する。地球教徒たちは帝国軍の攻撃に耐えられずに自ら死を選び、地の底へと消えていった。
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休暇は終わりぬ
ラインハルトのもとには地球教殲滅の報告と前後して、同盟でのヤンの離脱事件の概要報告ももたらされていた。これにより帝国軍上層部の間には波紋が広がったが、同盟併呑の口実を手に入れた形となったラインハルトは、内心では事態がこうなることを望んでいたのではないかと自問自答するのだった。そんな中、ラインハルトはフェザーンへの遷都を布告し、エル・ファシルが同盟からの独立を宣言する。歴史はまたも動き始めていた……。
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すべての旗に背いて
ヤンは補給基地ダヤン・ハーンでメルカッツとの合流を果たす。だが、その後は自分たちの呼称を「不正規隊」と決めただけで無為の日々を過ごしていた。彼は今なお同盟との関係修復を望んでいたのである。一方、帝国軍はレンネンカンプの遺体を収容し、一連の事件の全貌をほぼ解明した。シュタインメッツからその報告を受けたラインハルトは、帝国三長官を召集する。再戦か、現状維持か……。全宇宙がラインハルトの決断を待っていた。
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黄金獅子旗の下に
三長官を召集したラインハルトだったが、結局その日は彼自身が明確な方針を示せずに一旦会議は終了した。その彼の消極的な態度は、高圧的な形での権力行使に対する自戒の念から来るものであった。その後行われた上級大将会議にて主戦論を唱えるビッテンフェルト。その言葉に覇気を取り戻したラインハルトは…。
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『神々の黄昏』ふたたび
皇帝ラインハルトは、全宇宙に向けて一連の騒動の真相を告げると共に、自由惑星同盟に宣戦布告した。それを聞いたビュコックは不自由な老身を押しての現役復帰を決意し、勝つ見込みのない戦いと知りつつ作戦を立案する。ハイネセンでは市民がパニックを起こし、本来なら事態を治めるべきレベロは精神に異常をきたすなど、同盟国内は混乱を極めていた。そんな中、同盟特使オーデッツが帝国軍の撤兵を求めてフェザーンへと向かっていた。
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エル・ファシルへ
ラインハルトの宣戦布告の演説を聞き、同盟との関係修復の道が完全に断たれたことを悟ったヤンは、エル・ファシルの反帝国勢力に合流してイゼルローン要塞を再奪取することを決意する。同じ演説をオーディンで聞いたユリアンも、帝国を出国してエル・ファシルへと向かった。ハイネセンではチュンが、ムライ、フィッシャー、パトリチェフに、艦艇と自分の家族をヤンに届けるよう依頼していた。こうしてヤンのもとに反帝国勢力が集いつつあった……。
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イゼルローン再奪取作戦
ヤンとの直接対決を避けるため、エル・ファシルを孤立させて自然瓦解させることをヒルダは進言するが、ラインハルトは受け容れない。何故なら、彼自身がヤンとの再戦を望んでいたからである。一方、エル・ファシルで市民の熱狂的な歓迎を受けていたヤンは、ユリアンらと再会。不正規隊はイゼルローン再奪取計画を進めるが、独立政府はヤンにエル・ファシルへの残留を命じる。同じ頃自由惑星同盟では、ビュコックが出撃しようとしていた。
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蕩児たちの帰宅
ヤンの立案したイゼルローン再奪取作戦は、帝国軍に向けて出撃と待機の相反する命令を発するというものであった。ルッツはヤンの罠に嵌ったと見せかけて不正規隊を誘い込もうと、敢えて全軍を挙げて出撃する。しかし、それこそがヤンの狙いであった。1年前の要塞撤退時に仕掛けた暗号指令文を用いて要塞を無力化した不正規隊は、要塞を制圧。ルッツ艦隊を「雷神の鎚」で撃破し、イゼルローン要塞への帰還を果たしたのであった。
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マル・アデッタ星域の会戦(前編)
宇宙暦800年/新帝国暦2年、ビュコック率いる同盟軍最後の艦隊は、帝国軍全軍に対し、マル・アデッタ星域の細い回廊に布陣した。戦いにくい星域での地の利を生かしたビュコックの老獪な戦術に、クナップシュタイン、グリルパルツァー両艦隊は翻弄され、艦隊の三割を失ってしまう。ラインハルトは、予備兵力のファーレンハイト艦隊を投入するが……。マル・アデッタ星域で、圧倒的優位な立場にいるはずの帝国軍が思わぬ苦戦を強いられていた。
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マル・アデッタ星域の会戦(後編)
帝国軍の大艦隊を手玉にとり、一時優位に戦っていた同盟軍であったが、帝国軍の擁する兵力や物量の差には勝てず、次第に攻守が逆転する。恒星風を受けたアイゼナッハ艦隊の間隙を突き、ブリュンヒルトへと迫ろうとする同盟軍だったが、ミッターマイヤー艦隊、そして遅れて戦場に現れたビッテンフェルト率いる黒色槍騎兵艦隊に阻まれ、ついに戦力が尽きてしまう。ヒルダに再三寛恕を求められたラインハルトは、降伏勧告を出すが……。
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冬バラ園の勅令
ヤン率いる不正規隊にムライ、フィッシャーらの艦隊が合流し、イゼルローン要塞の兵力は確実に増加していた。その頃ハイネセンではロックウェルらがレベロを殺害し、帝国への全面降伏の意思を伝えていた。宇宙暦800年/新帝国暦2年、ラインハルトは銀河帝国皇帝として初めてハイネセンの地に降り立った。2月20日、同盟の終焉を宣言する「冬バラ園の勅令」が公布され、自由惑星同盟は273年の歴史に幕を下ろしたのであった。
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前途遼遠
ラインハルトは自らイゼルローン要塞へ赴いてヤンと雌雄を決することを望んだが、ヒルダらの諫言を受けて中止する。一方、ユリアンが持ち帰った地球教の秘密資料を検証したヤンは、初めて知る地球教とフェザーンの強い結びつきに衝撃を受けていた。ボリス・コーネフは調査のためのフェザーン行きを申し出る。同じ頃、ラインハルトのもとに、フェザーンから一通の報告書が届く。その内容は―「ロイエンタール元帥に不穏の気配あり」
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雷動
ロイエンタールに叛意ありという報告書には厳正な司法尚書ブルックドルフの署名があったため、ロイエンタールは大本営への出頭を命じられる。その報告書の裏にはロイエンタールに私怨を抱くラングの策謀があった。潔白を主張するロイエンタールをラインハルトは自ら審問し、彼らが初めて出会った夜のことを口にする。5年前、ロイエンタールは親友ミッターマイヤーを救うために、豪雨の中ラインハルトとキルヒアイスのもとを訪れたのである……。
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祭りの前
ハイネセンポリスが突然激しい大火に見舞われたが、ロイエンタールが手配していた危機管理マニュアルにより被害は最小限に留められた。その後下されたロイエンタールへの処分は、その功績を考慮に入れ、統帥本部長職は解任するものの旧同盟領の政治と軍事を司る新領土総督に任ずるというものであった。但しその発効は、ヤン一党に勝利し、銀河帝国による完全な宇宙統一を成し遂げた後である、とのラインハルトの言に諸将は奮い立つ。
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風は回廊へ
ラインハルトと諸将は、ヤン一党の討伐のためイゼルローン要塞へと進発した。フェザーンでは帝国軍幹部を狙った爆破テロが起こり、ハイネセンポリスでは精神病院が放火されて入院患者のアンドリュー・フォークが行方不明になるという事件が起きていた。その頃、イゼルローンへ先発していたビッテンフェルトは平穏な行軍の中で戦意を持て余しており、ファーレンハイトは彼を制御するため、ヤンに対して降伏勧告をしてみるよう勧めていた。
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春の嵐
イゼルローン要塞のヤンのもとにビッテンフェルトからの降伏勧告が届くが、不正規隊のメンバーは動じることなく、圧倒的不利な戦いを前に緊張感を感じさせない。些細な失言からカリンと口論してしまったユリアンは、そんな彼らと比べて自らの未熟さに耐えかねていた。ヤンはユリアンを気遣い、酒を飲みながら夜通し語り合うのだった。翌日、ヤンはメルカッツからの各個撃破の提案を踏まえ、ビッテンフェルトへの回答に一計を案じた。
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回廊の戦い(前編)~常勝と不敗と~
ビッテンフェルトのもとに、降伏勧告への返信と同時にメルカッツからの内応を申し出る通信が届く。罠と知りつつメルカッツとの接触を試みるビッテンフェルト率いる黒色槍騎兵艦隊を、回廊入口に潜んでいたアッテンボロー艦隊が回廊内へ引き込む。援軍としてファーレンハイト艦隊も突入したため、狭い回廊内で地の利を得たヤン艦隊は帝国軍を次々と撃破する。やむなく後退する帝国軍に、上級大将として初めての戦死者が出る……。
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回廊の戦い(中編)~万華鏡~
機雷で回廊を封鎖する作戦に出たヤンに対し、ロイエンタールは、ゼッフル粒子で機雷原に穴を開けて艦隊を突入させる。各所から砲火を受けたヤン艦隊は、メルカッツの献策により帝国軍左翼への波状攻撃を開始。その攻撃からブリュンヒルトを守ろうとしたシュタインメッツ艦隊は旗艦を撃沈されてしまう。物資や人員の量にも拘らず翻弄される帝国軍。ラインハルトは、ヤン艦隊の死角を瞬時に見抜いて砲火を集中し、一時艦隊を後退させた。
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回廊の戦い(後編)~大親征の終幕~
戦線が膠着する中、ミッターマイヤー戦死の報告がブリュンヒルトを襲った。誤報ではあったが、その報告はラインハルトに全軍の進撃を決意させた。ラインハルトは、縦列で突入し集中砲火の後に反転後退、その間に次の部隊を投入して間断なく攻撃する戦法をとる。戦力を著しく消耗した不正規隊は、黒色槍騎兵艦隊によって決定的な大打撃を与えられた。フィッシャーの戦死である。敗北を覚悟するヤンにラインハルトからの通信が届いた。
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魔術師、還らず
ラインハルトからの思わぬ停戦と和平会談の提案に、当初より和平を望んでいたヤンは、迷うことなく会談に向かうことを決める。エル・ファシル革命政府代表団と共に、パトリチェフ、ブルームハルト、スールを伴ってラインハルトのもとへと向かうヤン。それと入れ違いにイゼルローン要塞に到着したボリス・コーネフが、ヤンの暗殺計画があるという恐るべき情報をもたらす。すぐさまユリアン、シェーンコップらがヤンの後を追って進発するが……。
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祭りの後
ヤンを救おうと必死に「レダII」内部を走るユリアン。しかし彼が発見したのは、血溜まりの中に静かに座るヤンの亡骸であった……。イゼルローン要塞に戻った彼は、ヤンの死をフレデリカに告げる辛い役目を負わなければならなかった。ヤンを喪って途方に暮れる不正規隊一同。だが、首脳部は今後のことについて討議を始め、フレデリカとユリアンを新たな指導者とし、ヤンの遺志を継いで共和制の芽を守っていこうと決意を固めるのであった。
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失意の凱旋
「ヤン・ウェンリー死す」―イゼルローン要塞から全宇宙に向けて発せられた訃報は、ラインハルトのもとにも届いた。愕然とするラインハルト。彼はヤンの死に、今まで彼を置いて逝ってしまった者たちを重ね、大きな喪失感を覚えずにはいられなかった。ミュラー率いる帝国軍の弔問使節がイゼルローンを訪れる。ヤンへの敬意を込めた弔問を終え、ユリアンと会談したミュラーは、ヤン亡き後もイゼルローンが健在であることを実感するのであった。
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遷都令
ラインハルトはフェザーンへの遷都を正式に発布する。そんな中仕官を求めてきたトリューニヒトに、彼は皮肉を込めて新領土総督府高等参事官の職を提示するが、トリューニヒトはそれを平然と受け容れた。この人事が銀河帝国の未来に及ぼす影響に、ミッターマイヤーとオーベルシュタインは思いを巡らせる。一方、爆破テロ事件の犯人を逮捕して功績を立てたラングは、ロイエンタールを追い込むために、ルビンスキーと取引を行っていた。
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八月の新政府
イゼルローン要塞のユリアンは、銀河帝国の首都をフェザーンに遷すことによってイゼルローンを孤立させ、その存在価値をなくすというラインハルトの構想を見抜き、民主共和制の火を灯し続けていくことの難しさを痛感していた。ハイネセンで地球教が不穏な動きを見せる中、イゼルローン共和政府は樹立された。記念式典会場では自然と旧同盟国歌の合唱が沸き起こる。ヤンの理想は絶えることなく、時期の到来を待っているのであった。
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嵐の予感
宇宙暦800年/新帝国暦2年8月、銀河帝国皇帝ラインハルト・フォン・ローエングラムは、宿敵ヤン・ウェンリーの死による喪失感から逃れるように政務に精励していた。ミッターマイヤーとの会見中、ふと彼の胸に去来する5年前の嵐の夜の出来事。それは、ラインハルト、キルヒアイス、ミッターマイヤー、ロイエンタールの長い友諠のきっかけであった。その時ミッターマイヤーは、門閥貴族の策謀で軍刑務所に収監されていたのだった。
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辺境にて
フレデリカを政府首席、ユリアンを軍司令官として設立されたイゼルローン共和政府は、民主共和制の灯をささやかに守り続けていた。しかし、銀河帝国の自由惑星同盟併呑により、イゼルローン要塞は今や人類社会の最辺境、異端者たちの聖地となりつつあった。ユリアンは長期的な視野に立ち、帝国にも共和制の思想を浸透させていく方法を考え始めていた。そんな中、ボリス・コーネフが帝国からイゼルローンに驚くべき情報をもたらす。
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夏の終わりのバラ
帝国軍戦没者墓地の完工式に出席したラインハルトは、暗殺者の襲撃を受ける。その暗殺者があのヴェスターラントの犠牲者の遺族であったことが、彼の心に氷の刃を突き通した。キルヒアイスを永遠に喪う原因ともなったリップシュタット戦役時のヴェスターラントへの熱核攻撃は、今でも彼にとっての心の傷であると同時に姉アンネローゼへの大きな負債となっていたのだ。茫然自失としたラインハルトは、ヒルダに一夜の慰めを求めるが…。
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鳴動
惑星ハイネセンでは、グエン・キム・ホア広場で戦没者合同慰霊祭が行われていた。新領土総督ロイエンタールは杞憂だと思いつつも二万の警備兵を配置する。しかし、何者かが参加者を扇動して暴動を起こし、民間人、帝国軍人双方に多くの犠牲者を出す大惨事となってしまった。これを皮切りに新領土各地で反帝国の暴動が続発。秩序回復に腐心するロイエンタールは、一連の騒動の裏に彼の権力と人望を失墜させようとする黒幕の存在を感じていた…。
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発芽
ヒルダへの求婚に回答を得られなかったラインハルトは、乗馬や不似合いな芸術鑑賞に手を伸ばすことで気を紛らわせていた。その頃、帝国内にロイエンタールが叛乱を起こすという噂が流れる。一方、新領土のロイエンタールのもとには、ラインハルトの病臥につけ込むオーベルシュタインとラングによって政情が乱れつつあるとの情報が入っていた。彼は、ラインハルトの信頼を確かめるため、敢えて新領土への行幸の招請を出す。
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ウルヴァシー事件
新領土への行幸の途上、ラインハルト一行は大親征慰霊碑参拝のため惑星ウルヴァシーに立ち寄るが、その夜基地全体に及ぶ叛乱が起こった。脱出する車の中、ミュラーはロイエンタールの謀反を匂わせる。湖に不時着させた総旗艦ブリュンヒルトを目指し、車を乗り捨て徒歩で森林を抜けようとするラインハルト一行。襲撃は執拗に続き、ついに彼らは取り囲まれてしまう。ラインハルトを逃がすため、ルッツただ一人がその場に留まるが…。
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矜持にかけて
惑星ウルヴァシーでの騒乱、そしてルッツの死の報を受けたロイエンタールは、ラインハルトと自分との間に修復し得ぬ亀裂が入ったことを知った。しかし、彼の矜持はオーベルシュタインやラングの手によって叛逆者に仕立て上げられることには耐えられなかった。自ら叛旗を翻すことを決意したロイエンタールの胸に、かけがえのない親友との思い出が去来する。一方、逃避行中のラインハルトもルッツの死を知り、ついに決断を下すのであった…。
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叛逆は英雄の特権
帝国軍に保護されたラインハルトは、ミッターマイヤーにロイエンタール討伐の勅命を下した。必死に友の助命を嘆願するミッターマイヤーであったが、ラインハルトの意志は固い。皇帝の手を汚さぬために、彼は無二の親友を討つという苦渋の選択をせざるを得なかった。彼は銃を手にラングのもとに向かうが、銃口を上げた瞬間にケスラーによって諌められる。その頃再出仕したヒルダが、生前のルッツが残した報告書をラインハルトに提示していた。
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双璧相撃つ!
宣戦布告があったわけではないが、ロイエンタールの叛乱は既定の事実となっていた。帝国の内戦により俄かに戦略上の要地となったイゼルローン要塞に、ロイエンタールの使者としてムライが訪れる。帝国軍の回廊通過を阻止すれば旧自由惑星同盟領全域とトリューニヒトの身柄を返還するというロイエンタールの申し出を、ユリアンらは拒絶した。新領土に向けて進発したミッターマイヤーは、ロイエンタールとの最後の交信を試みる…。
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剣に生き…
「疾風ウォルフ」の神速の用兵で、ロイエンタールはランテマリオ星域に戦線を設定せざるを得なくなり、此処に双璧は砲火を交えることとなった。お互いを知ることについて人後に落ちず、ラインハルトを除いて全宇宙に比肩する者のない名将同志の争覇戦は、早期決着を望む双方の思惑とは別に膠着状態に陥る。しかし、イゼルローン共和政府がメックリンガー艦隊に回廊を通過させたことを知ったロイエンタールは、撤退を余儀なくされた。
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剣に斃れ
急追するミッターマイヤー艦隊に反撃しようとした矢先、味方であるグリルパルツァー艦隊がロイエンタール艦隊を砲撃した。この裏切りによって、ロイエンタール艦隊は瓦解への道をたどり始める。ロイエンタール自身も重傷を負うが、手術を拒否しハイネセンに向かう指揮を執り続ける。ハイネセンに降り立った彼は、最後の仕事を行うため執務室へと向かった。その頃メックリンガーはウルヴァシー事件の再調査を行い、その真相を突き止めていた。
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終わりなき鎮魂曲
ハイネセンに戻ったロイエンタールは政務と事務の全権を民事長官エルスハイマーに託した後、トリューニヒトを呼んだ。民主主義を嘲弄し皇帝ラインハルトさえも侮蔑する言葉を口にした彼を、ロイエンタールは射殺する。やがて、子供を抱いたエルフリーデが姿を現した。ロイエンタールは、ミッターマイヤーに我が子を託すように伝える。彼女が去った後、死の迫った彼は、机にウイスキーとグラスを2つ用意して、グラスの向こうに座るべき親友を待つのだった…。
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未来への助走
ロイエンタール叛乱事件を終結させたミッターマイヤーは、フェザーンに帰還した。終戦を報告するミッターマイヤーにラインハルトは、これから何があろうと死ぬなと命じるのだった…。ミッターマイヤーは、妻エヴァンゼリンと共にロイエンタールの忘れ形見をフェリックスと名づけて、育てることにする。ラインハルトは、ヒルダから懐妊していることを告げられる。ヒルダへの気持ちを自覚するようになっていた彼は、改めて彼女に求婚するのだった。
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皇妃ばんざい!
宇宙暦801年/新帝国暦3年の新年祝賀会の席上、ラインハルトはヒルダとの結婚と彼女の懐妊を発表した。帝国内は歓喜の声に包まれる。そして、二人の結婚式に立ち会うためにアンネローゼがフェザーンへと到着する。キルヒアイスの死から3年。姉と弟はようやく再会したのであった。1月29日、粉雪の舞い散る中、二人の結婚式が盛大に執り行われるが、その最中に惑星ハイネセンにて反国家的暴動が発生したとの報がもたらされる。
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動乱への誘い
物資の流通が阻害されたことにより、新領土全域において反国家的暴動が続発する。また、帝都フェザーンでは航路局の全航路データが消去されるという事件が起こる。それらの背後にいる首謀者はルビンスキーであることが判明するが、本質的には旧自由惑星同盟市民の帝国への反感が暴動を誘発しているのである。その声に対し、イゼルローン共和政府はどう応えるのか。ヤン亡き後初めての戦いに赴くべきか。ユリアンの判断が問われていた。
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敢えて武器を手に
イゼルローン軍出撃! だが、帝国軍の予想に反してイゼルローン軍は帝国本土方面に向かった。それは、新領土の帝国軍を要塞主砲の射程に誘い込むためのユリアンの作戦だった。本土方面のヴァーゲンザイル艦隊と戦いつつ、新領土側のワーレン艦隊が近づくタイミングを測った彼は、メルカッツ艦隊と連携して“雷神の鎚”で両面の敵に損害を与えることに成功する。勝利に沸き立つイゼルローンだが、これでラインハルトとの決戦は不可避となる。
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コズミック・モザイク
イゼルローン軍の勝利は旧同盟領全土に伝えられ、市民たちは熱狂する。病床のラインハルトはオーベルシュタインに、ビッテンフェルトとミュラーを指揮してハイネセンに赴き、治安回復にあたるよう命じた。オーベルシュタインは旧同盟政府関係者を次々に拘引し、彼らを人質としてイゼルローン要塞の無血開城をはかろうとする。正面からの艦隊決戦を主張するビッテンフェルトは、彼と激しく対立し…。事態は思わぬ方向に進んでいく。
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平和へ、流血経由
ビッテンフェルトがオーベルシュタインに拘束され、反感を強める黒色槍騎兵艦隊の兵士が、些細なことからオーベルシュタイン直属部隊と争いになり、帝国軍同志の一連隊規模の衝突にまで発展する。ワーレンが中間に立って無言で両者を抑えつけ、大事には至らなかったが、事態は混乱するばかりであった。イゼルローン共和政府には、指導者たちの出頭を求めるオーベルシュタインからの通達がもたらされ、フレデリカはハイネセンへ赴くことを決意する。
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昏迷の惑星
ラグプール刑務所に収監されていた旧自由惑星同盟政府関係者が、何者かの扇動により暴動を起こした。互いに反目するオーベルシュタイン直属の憲兵隊と黒色槍騎兵艦隊がその制圧にあたったために指揮系統が乱れ、多数の死傷者を出す結果となってしまう。惑星ハイネセンに到着したラインハルトは、政治犯を解放し、改めてイゼルローン共和政府に和平交渉のための招聘を行い、ユリアンらは虜囚ではなく使節としてハイネセンへと赴くことになった。
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柊館炎上
皇妃ヒルダとアンネローゼの滞在する仮皇宮「柊館」を、帝国要人の不在をついて地球教徒が襲撃した。柊館は炎に包まれるが、アンネローゼの勇気ある行動と憲兵総監ケスラーの活躍によって地球教徒は撃退される。そのショックでヒルダは産気づき、男児を出産した。ローエングラム王朝の帝位継承者、皇子の誕生であった…。
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深紅の星路
イゼルローン共和政府への亡命を求める民間船「新世紀号」の救援要請がきっかけとなって両軍の間で始まった紛争は、瞬く間に拡大した。帝国との対等な和平交渉のためには一定の軍事的勝利を挙げる必要があると考えていたユリアンは、今がその機と判断して全軍を出動させる。ラインハルトも親征を決断していた。戦力で劣りながらも、無人艦の詭計を用いるなどして善戦するユリアンのもとに、「皇帝不予」の情報が舞い込んだ…。
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美姫は血を欲す
皇帝昏倒の報を受けたミッターマイヤーとミュラーは、ラインハルトが不治の病に冒されていることを知った。そんな中、ユリアンらの乗る強襲揚陸艦がブリュンヒルトの艦腹に突入した。ラインハルトとの直接交渉のため、彼が信じる民主共和主義を守るため、玉座へ突き進んだユリアンはついに皇帝ラインハルトと対峙する…。
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黄金獅子旗に光なし
講和成立! イゼルローン要塞は喜びに包まれていたが、シェーンコップ、メルカッツらの戦死の報により一転、悲嘆に沈んだ。そんな中、ユリアンは父を亡くしたカリンとお互いの気持ちを確かめ合っていた。帝国軍と共に2年振りにハイネセンに帰着したユリアンは、ミュラーからラインハルトを喪う苦悩を打ち明けられる…。
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夢、見果てたり
和平交渉を続けるユリアンらを伴って、ラインハルトはフェザーンに到着した。やがて容体が急変し、元帥、上級大将が参集、ユリアンらも仮皇宮に呼ばれる。そこでオーベルシュタインは、逝去するラインハルトを囮にして地球教徒の残党を誘き寄せたと告げる。仮皇宮では地球教徒との戦いが始まった。ユリアンがド・ヴィリエを射殺して地球教徒を殲滅させたのと前後してオーベルシュタインが爆死。ラインハルトにも最期の時が迫っていた…。
スタッフ
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キャラクターデザイン
清水恵蔵 -
シリーズ構成・脚本
河中志摩夫 -
プロデューサー
田原正利
-
メカニックコンセプトデザイン
加藤直之(スタジオぬえ) 清積紀文 -
制作協力
マジックバス、アートランド -
効果
倉橋静男(サウンド・ボックス) -
原作
田中芳樹 -
撮影監督
岡崎英夫 -
総作画監督
清水恵蔵 -
総監督
石黒昇 -
美術監督
長尾仁 -
美術設定
田中精美 -
製作
徳間書店、徳間ジャパンコミュニケーションズ、らいとすたっふ、サントリー -
録音
上林信芳(アオイスタジオ) -
音楽
風戸慎介 -
音響監督
明田川進 -
メカニックコンセプトデザイン
清積紀文