銀装騎攻オーディアン
エピソード
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「胎動のしらべ」
哉生優(かななせゆう)は高校をドロップアウトし、仲間と呼べる者もいない少年である。優はかつての先輩である橘了(たちばなりょう)から勧められたこともあって、沖縄にある軍事施設「インターナショナル・ミリタリー・オーガニゼーション(I.M.O)」に見学者として訪れた。彼はそこで幼なじみの藍原ナンナと出会う。いきなりけたたましい声で話し掛けてくるナンナに緊張感を緩める優。そして、優をI.M.Oに入隊させようしている橘はいきなりリム・ヒューガン(機軸連動戦機=ロボット)による演習に参加させた。初めて操るとは思えない優の動きにあっけにとられる一同であったが、さらにそれを上回る動きのリム・ヒューガンとの戦闘。その乗員であるウォルフとの初めての出会い。この出会いがさらなる物語に展開して行く…。
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「隔たり、ただ高く」
優はI.M.Oに正式入隊することになった。配属は「第18実戦待機チーム」、幼なじみのナンナと同じチームである。彼女の案内で格納庫にやってきた優は、ウォルフに遭遇する。彼もまた同じチームであった。演習の時のイメージと異なるウォルフに戸惑いを覚える優。その時「第18実戦待機チーム」に突然の演習指令が下る。優=「龍牙」、ナンナ=「南撃」、そしてウォルフ=「無頼」、それぞれのリム・ヒューガンに乗り込む彼ら。演習の相手はベテランのヴィタ。演習開始と同時にヴィタの「暴牙」が襲い掛かる。前回と違い思うように操れない「龍牙」にあせる優。窮地に陥った優は…。
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「満ちる月」
月が輝く夜、誰もいない古城に3つ並ぶカプセル。その一つが開き一人の少女が現れた…。負傷入院中の優を見舞うウォルフとナンナ。そこへ橘が現れ、優に翌日からの隊復帰指令を伝える。さらに彼は、チームに新たな人材が加わることを告げた。復帰した優とウォルフ、ナンナは、監視塔の屋上にいる少女の姿を確認する。「自殺する」と思った優達は少女を説得しようと試みる。ところが突然飛び降りる少女。次の瞬間、優たちの目に映ったのはリム・ヒューガン「蒼斬」のコクピットに着地した少女の姿であった。この謎の少女が新チームメイトのネル・マクマハウゼン。月夜のカプセルから現れたあの少女である。そして!?
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「黄金たる夢をともに」
アメリカ国防総省の要請により、I.M.Oの中国戦線への同行参加が決定した。従軍する4チームの中には、第18実戦待機チームも含まれていたが、優を含め新規配属された人間が多いため、その任務遂行能力に疑問を持つ声が高かった。そんな中、15年ぶりの記録的大型台風が接近。さらに、I.M.O区域内の岸壁に他国船籍らしき船が座礁した。香織は第18実戦待機チームの任務遂行能力を証明するということに加え、優のデータを取るために救出作業へチームを投入する。強風が吹き荒れる中、4機は救出作業に入る。しかし、船を引き上げるワイヤーに亀裂が…。
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「絶対知の他人」
アメリカ国防総省のアークエット元帥がI.M.Oを訪問した。I.M.O側は最新型リム・ヒューガンを並べてプレゼンテーションを行うが、アークエットは関心を示さず、権限に乗じて「遺産」の秘密があると目されるI.M.O中枢部へ向かうアークエット一行であったが、香織の作戦によりそれ以上の進入を断念する。そして、実戦待機チームに中国戦線への従軍同行指令が下った。実戦…複雑な思いの優は、ナンナと戦争というものについて語り合い、一時の感情にまかせてナンナに迫ってしまうが…。
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「狂気の海、渦中へ」
遂に中国戦線に到着した優達。I.M.Oは後方支援の予定であったが、香織の陰謀により代表者の前線投入が決まる。そのメンバーとなった橘、準也、ウォルフ、優ら8人は実戦投入への不安を抑えつけ、前線へ…。敵の装備は自軍でいう10年前のシロモノという情報に安心していた優達だったが、その差を感じる間もなく敵の奇襲を受けてしまう。作戦失敗。任務続行を不可能と判断した橘は、各自がそれぞれ合流地点に集合せよと指令する。しかし、ドラゴンファングのエネルギーが!? 初めて死を身近に感じる優は…。
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「或いは正義と」
中国戦線基地から出撃したメンバー全滅の報告を受けたハロラン中将は、指揮官の責任問題追及に脅えていた。しかし、I.M.Oを実戦投入させた香織はなんら動じることもなく、これを利用し、スクルラッドの脅威を訴求できると提示する。そして、救出部隊の派遣を要請。部下の生存を断言する香織にハロランは唖然とするばかりだった。戦場…何者かの手によって救出された優。しかし、霧散化水素弾の絨毯爆撃による残虐攻撃を目の当たりにした優は、戦争の悲惨さを実感する…。
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「囚人たち」
中国戦線における甚大な被害に愕然とするI.M.O内部。しかし、当然ながら香織はこの事態を平然と受け止めていた。一方、優は戦争後遺症ともいうべき悪夢に悩まされていた。「まるで死刑を待つ囚人」であるかのように…。やがて、自分が“人を殺すという行為に耐えられない人間”であると自覚した優は、I.M.Oからの脱出を決意する。仲間であるナンナ達にそれを打ち明けた優は、生前の橘が言った「おまえに一番必要なもの」を手に入れたのかもしれないと考えた。そして、ナンナ、ウォルフ、ネルも同行することになり、「南撃」まで持ち出し、脱走に成功する…。
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「愛でる指に赤く」
I.M.Oを脱走した4人は、糸満に居るという優の親友(?)アキラを訪ねる。アキラと会った優は「南撃」を横流しすることで、島から脱出に無理矢理協力させることに成功。しかし、ウォルフは島に残ると言い出した。一方、I.M.Oは捜索部隊を派遣、香織は優の覚醒への刺激になるチャンスとしてこれを利用することにした。脱出の時間が来るまでの間、4人は楽しい時間を過ごす。そして脱出の時、倉庫前でアキラを待つ優達の前にアキラを捕らえたI.M.O部隊と香織が現れた。優に向けられた香織の銃口。優は幼い日の記憶に想いを馳せる。そして!?
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「暴風回廊」
I.M.Oに連れ戻された優は副指令の真田から尋問を受ける。その頃、「銅の血盟団」代表・ベルチオと国際的テロリスト・ニトロ、グリセリンがI.M.O内に侵入した。テロリスト達は機軸連動戦機「ブレスレスキーパー」を組み立て、破壊活動を開始する。緊急事態に混乱する中、アメリカ軍の機軸連動戦機「マキシマムスマッシャー」部隊が事態収拾に動くが、テロ組織の前に全滅してしまう。そんな中、中枢部に残っている戦力として参戦出来るのは優とウォルフだけ。やがて彼らにテロ鎮圧命令が下る…。
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「君だけに」
混乱するI.M.O内、テロ鎮圧に向けた優とウォルフに、ニトロとグリセリンが攻撃を加えてくる。あせる優とは異なり冷静に戦況を観察するウォルフ。しかし、グリセリンが流した曲が、ウォルフに記憶の断片を甦らせた。気持ちを高ぶらせた彼は、長距離射撃によりブレスレスキーパーを撃ち抜く。一方優は、逃げるテロ組織を追う途中、戦争の記憶を甦らせパニックに陥っていた。「一人になるのは嫌だ!」と叫ぶ優にウォルフは「君一人だけにはしない」と約束をする…。
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「忌まわしの息吹」
混乱するI.M.O内部では、2機の救出に調整が終わったネルの「蒼斬」を向かわせる。一方、藍原指令が指揮をとる機軸連動戦機部隊は遮蔽ゲートを爆破し、強引に突入する。その頃、優とウォルフはベルチオと対峙していた。ベルチオは再生(リメイク)の技術を応用したブレインワーカーと呼ばれる能力を身に付けており、すでにその能力を使いI.M.Oの全システムの90%以上がを同化させていた。無線により指示を受けたウォルフはベルチオを射殺しようとするが、ベルチオの唱える理想に共感した優は、射殺命令から彼を守ろうとする…!?
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「闇穿つ咆哮、そして」
アメリカ軍司令部・アークエット元帥はI.M.O会議室で今回の事件について状況捜査をしていた。この事件を機に「遺産」を見つけようというのである。一方、優は3発の銃弾を受けて重体におちいり、ナンナは錯乱状態。ウォルフは司令殺害の罪で拘束され、故郷のエリクマイヤー城に連行されてしまう。ウォルフはここで回機機軸連動戦機「ロキ」と遭遇する。「ロキ」のニューロシステムは、ウォルフにクルトと呼びかけてくる。やがて「ロキ」が覚醒するための鍵が自分であると知ったウォルフは…!?
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「そして白く輝ける」
沖縄のアメリカ空軍基地上空に突如、「ロキ」が現れた。米軍必死の反撃も虚しく、壊滅状態の空軍基地。やがて「ロキ」はI.M.Oへと向かう。その頃、香織と麗子は「黒き凶獣」の出現を知り、優を目覚めさせる決心をする。一方、I.M.Oは「ロキ」に対し、機軸連動戦機による攻撃を開始。ところが、少しもダメージを残さない「ロキ」に 戦慄を覚える。そして、「ロキ」が放ったエネルギー弾により破壊されたI.M.Oから白く輝く巨大な機軸連動戦機が現れた…。
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「ネイキッド・ロジック」
遂にその全貌をみせた「オーディアン」。香織と麗子は、優とオーディアンを同調させる一方、「黒き凶獣」をとりこんだ謎の機軸連動戦機「ロキ」のデータ解析からパイロットがウォルフであると割り出した。対峙する「ロキ」と「オーディアン」。ウォルフは優に人を超えた再生人(リメイカー)として話しかけるが、人間としての感情を変えようとしない優に苛立ちを覚える。そして、「オーディアン」の中に眠るシステム「白き御使い」を自分のものとするため、ウォルフは攻撃を開始した…。
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「瓦解と構築(カノジョトワタシ)」
粉々に砕け散る哉生香織の姿を見せられ、混乱に陥る優。彼は鎬臣麗子曹長にラグナクロクの件とオーディアンの事等を問い正す。すると麗子は、自分と香織との過去を語り始めた。幼い頃、特殊な情報処理能力をもっていた麗子は、香織と優の父親である哉生正樹に買われたのだという。それは「再生」という特殊な技術を実現させるためであった。目の見えなかった香織は「再生」により光を取り戻すが、それにより麗子は「独特を持つもの」同士では無くなったと思い、彼女に嫉妬心を抱く。しかし、正樹の目的は香織の目を治すことではなく、これをもとにしてヒルダという自我を再生させることにあった…。
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「BEYOND」
麗子との交信のなかで香織が身を犠牲にしたという事実を知った優。感情の渦に流された優は、凍結された香織の身体を確認しようとするが、麗子の神経フィードを無視した分断により意識を失ってしまう。その頃、アメリカのペンタゴン内部では、I.M.Oに生じた出来事について対策会議が開かれていた。一方、意識を失い医務室で眠る優のもとへネルが現れた。ネルは、誰かの意思でI.M.Oに来たという失われた過去の意識と、I.M.Oに来てから創られた「仲間との友情」という自分の意識との葛藤に悩んでいた…。
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「可逆の絆」
エリクマイヤー城で目覚めたミル(アイン)とジル(ツヴァイ)は、ネルの元へと向かう。一方、 日本ではアメリカ軍仕官と真田たちにより今後の展開が協議され、 優たちを攻撃することが決定した。その頃、 優とネルはI.M.Oのベースメントにある哉生正樹の墓前で、 過去の出来事と"白い御使い"が優を必要としていることを麗子から聞かされていた。そんな中、 ついに優たちへの攻撃が始まる。メンテナンス中のオーディアンは出撃できないため、 ネルが"蒼斬"に搭乗して出撃する。そこに、 ミルとジルが搭乗した新たなリムヒューガンが現れ…。
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「歪む視界」
「オーディアン」に対抗するものとして真田が造り上げたリムヒューガン「羅十(ラクロス)」。この「羅十」にカロルとフェスが搭乗し、「オーディアン」を攻撃する。カロルは準也が戦死した件で、生き残った優に激しい憎悪の念を抱いていた。「羅十」は衛星軌道上に浮かぶ地上攻撃用ポッド「神の首」からの直接射撃をコントロールできる。真田はこれに対する「オーディアン」の反撃は不可能とみていた。「オーディアン」に対する照準は、カロルの憎しみを利用した優との意識リンクにより正確に行える。そして遂に「神の首」から荷電粒子ビームが発射された…。
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「絶対を招く者」
戦場…スクラッドの機軸連動戦機「ショーティー」が一瞬の間に血祭りに。その相手は「絶対を招く者(アブソリュートインバイター)」と呼ばれる傭兵「オロ」。そのオロに次の依頼が入る。ターゲットは香織と麗子だった。I.M.Oに侵入したオロに対し、優とネルはそれぞれオーディアンとサザンショットに乗り込み迎撃する事となった。しかし、ハッキングBOXを仕掛けられているため、麗子の指示は届かない。サザンショットに慣れていないネルは一方的にやられてしまい、オーディアンも人間の神経系統が破壊されるように徐々にダメージを受け…。
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「次にあるもの」
オロに敗北し、サザンショットから救出されたネル。一度は目を覚ますが、再び意識を失ってしまう。そしてネルは、付き添っていた優がふと眠った隙に意識を取り戻し、病室を抜け出す。公園でネルを見つけた優は、独りになるのが怖いと語る。そんな優に「この姿が消えてしまったとしても、私はずっと優のそばにいる」と優にキスをして「さようなら…」と囁き去っていくネル。I.M.Oの内部から消えてしまったネル。その翌日に3機のリムヒューガンが現れた。そのうち1機に搭乗しているのは…!?
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「ワルプルギスの道標」
アメリカの国防総省内部では、香織の周辺調査を行い、哉生正樹とリガルド、そして「再生~リメイク~」に関する事件の報告が行われていた。かつてリガルドはその理論を発表したが、その進んだ理論は当時の学会には受け入れられず、かえって馬鹿にされる始末であったという。その理論に共鳴し、共に研究を行ったのが哉生正樹であった。しかし、「再生」を忌むべきものと考えたエリクマイヤーは、リカルドとその研究結果が流出しないように軟禁するが、正樹はヒルダの自我と共に日本への脱出に成功する。そして、それがきっかけとなり、藍原とエリクマイヤーは「再生」の技術を占有しようと企んだ…。
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「残滓、集めて」
「ウォルフ=リガルドの意識」はアークエットに対し、アビスリメイク(全生物をリメイクさせる)によって世界を創り直す決意を告げる。そして、ウォルフはアメリカ軍の力に対し、その上をいくパワーで打ち砕くと宣言した。狂ったアークエット元帥は、最終兵器「トール」の開放を指示してしまう。遂に「ロキ」がI.M.Oへ飛来した。優とオーディアンは“グングニルスピアー”で追撃するが、ロキに吸収されてしまい、何等ダメージを与えることができない。窮地に陥るオーディアンと優。その時、ナンナの「天撃」が現れ、ロキのシステム(リガルド)に対し、攻撃を加える…。
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「優の腕」
遂にアメリカ軍は、宇宙空間からトールを解放した。一方、地上で対峙する優(オーディアン)とウォルフ(ロキ)。ナンナへの攻撃という取り返しのつかない行為に苦悩するウォルフの前で、香織の意識から「ストレイ・キャパシティー」について教授を受けた優は、遂にリメイカーとしての自覚を得る。「ストレイ・キャパシティー」とは全生物が脳内に持つ、あるべきなのに存在しない物理的なそれ。そしてあくまで思考。それを介せば全生物との意識リンクが可能となる。そしてその力、優の力こそが「遺産」であった。目覚めた優にウォルフは初めて恐怖を覚える。更にI.M.O.では麗子がオーディアンの最終兵器とでも言うべき「グングニルランサー」を完成させた…。