百妖譜
エピソード
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灰狐(上)
乱世の時代の中国。冬のある晩、雪原にぽつんとたたずむ一軒の宿屋を訪れた桃夭と磨牙。温かいそばを食べ暖を取っていたが、同じように食事をしていた客が次々と血を吐き意識を失っていく。なんとその宿屋は人を食う妖怪の棲み家だったのだ。妖怪たちは人間から精気を吸い取っていくが、その時、桃夭と客の中にいた謎の男が意識を取り戻し、妖怪を倒していく。その男は、霊医である桃夭を探し、人間に姿を変えた灰色の狐だった。
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灰狐(下)
40年前に灰色の狐と遊び、夢を語った少年は、今では乱れきった蜀の地で強大な権力を持つ大将軍となっていた。その目には、もはやかつての平和を愛する純粋な光はなく、2万人の降伏兵を容赦なく殺すなどの蛮行で人々から恐れられる存在と化し、目の前の人間に姿を変えた旧友の狐にも気づくことはなかった。それどころか自分を殺すよう命令する将軍に、狐は「人間の姿になることはできたがその心は分からない」と嘆くのであった。
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漱金(上)
桃夭と磨牙たちは、桃夭の友人である葉逢君が営む元宝堂を訪れた。葉から、ある妖怪を助けてほしいとの依頼があったからだ。葉は桃夭たちにその妖怪を救う訳を語り始める。それはこんな話だった。2年前の大晦日、朱小宝という男が店に現れ、身体の悪い母のために折り紙の蝶を作ってもらいたい、そして代金は金(ルビ:きん)で支払うというのだ。親孝行のためと思い快諾した葉だったが、その後、小宝はたびたび店を訪れるようになっていった・・・。
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漱金(下)
瀕死の漱金鳥を診た桃夭は、葉に「老衰だから治せない」と言い放つ。それでも食い下がる葉に対し桃夭が、助けるには漱金鳥に何があったのか自分の口で語る必要があると伝えると、漱金鳥は自身の過去を語りだした。自分は金(ルビ:きん)を吐き出す鳥で、長年にわたり人々から吉祥だと言われてきたが、自分がもたらしたものは争いと死ばかりだった。しかしある日、貧しくも温かく明るい、それまで目にしたことのない家族と出会い、そこで暮らすことにしたと・・・。
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蜉蝣(上)
未晴湖の近くの賭博場で有り金をすってしまった桃夭と磨牙。支配人から、払う金がないなら湖畔の好喫館で3日間皿洗いをするよう命じられる。しぶしぶ承諾する2人だったが、ちょうどそこは桃夭が診察の依頼を受けていた人狼の郎(ろう)の家だった。年老いてもう先の長くない郎は、死ぬ前にどうしても弔いたい女性がいると言い、自らの生い立ちと彼女に出会った若いころの苦労話を語り始めるのだが・・・。
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蜉蝣(下)
人間の世界で生きていくことの苦労に耐えかねて、未晴湖に身を投げて自ら命を絶とうとしていた郎だったが、偶然通りかかった美しい少女によって助けられる。天真爛漫に生を謳歌しているような少女にいつしか郎も生きる勇気をもらい、それまで経験したことのないような楽しい時間を過ごす。そして1日の終わりに彼女から最後のお願いとして自分と結婚して欲しいと告げられるのだった。困惑する郎は、ある約束をすることで同意する。
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慶忌(上)
おいしいフナの料理と美しい桃の花で有名な利州の鏡花沢を訪れた桃夭たち。しかし、評判とは異なり、鏡花沢の水は淀んで汚れ、もはや魚たちの棲めないほどで、とても名物のフナ料理にありつけるような状況ではなかった。実はドジョウの精の秋王(ルビ:しゅうおう)が沼を乗っ取り、ほかの生き物を追い出してしまっていたのだ。そして、鏡花沢に住む古い友人の慶忌(ルビ:けいき)は、秋王を退治するため桃夭に助けを求めたのだった。
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慶忌(下)
鏡花沢の近くの王家村にやってきた桃夭たちは、呪師であった王大仙の息子で慶忌の親友の少年の消息を村の老婆に尋ねるが、すでに亡くなっていると告げられる。しかし、王大仙が遺した息子の日記が見つかり、桃夭はそれを慶忌に手渡す。日記には少年と慶忌の出会いや様々な思い出が書き記されていて、日記を読み進めるうちに慶忌は2人が会わなくなった理由や少年の本当の優しさを知って涙にくれるのだった。
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乖龍(上)
ある長閑な日、桃夭と磨牙たちは飛魚村の近くの湖で釣りに興じていたが、突然の雷に打たれ、危うく命を落としそうになる。実はそれは雷神に仕え雨を降らせる力を持つ乖龍(ルビ:かいりゅう)の仕業だった。怠け者で雷神のもとから逃げてばかりの乖龍は、人の身体の陰に隠れるのが好きで、そのために人が雷に打たれてしまうのだ。怪我をしている乖龍に治療をしてあげてほしいと桃夭に懇願する磨牙に対し、桃夭はきっぱりと拒絶するのだが・・・。
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乖龍(下)
旱仙(ルビ:かんせん)との闘いに敗れ乖龍は大怪我を負ってしまう。飛魚村を救うために何としても旱仙を倒さなければと息巻く乖龍に、そんな身体ではとても闘えないと桃夭は言い放つ。どうしても闘いたいのであれば治療をするが、そのためにはなぜそこまでして村を守りたいのか聞かせてほしいと言う桃夭に、乖龍は意を決して重い口を開き、村の少年で親友の阿忙(ルビ:あぼう)との出会いを語りだすのだった。
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腾根(上)
縁結びの神として有名な神女閣を訪れた桃夭たち。雷神との結縁を願う桃夭は、蠱師のおばあさんから蠱母が作った薬を売りつけられそうになるが、一文無しのため叩き出されたところを露店を営む老夫婦に助けられ、久しぶりの食事にありつくのだった。そして、老婦から、地主の甄(ルビ:けん)家の娘の話を聞かされる。彼女は気立てのよい優しい娘なのだが、火事で負った顔の火傷のせいで年頃になっても良縁に恵まれないというのだ。
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腾根(下)
桃夭から、夫の身体にいつ蠱母を植え付けたのか問い詰められた老婦は、自らの人生を語りだす。蠱師の一族に生まれた彼女は、幼少時、余所から連れてきた男に蠱を植え付けて殺すのを見てきて、その風習に反抗するたび折檻を受けていた。しかし、ある晩大火事が原因で部族は全滅してしまう。唯一生き残った彼女は山を下り、町に出て普通の人間の暮らしを始めようとするが、腕に刻まれた蠱師族の印のため、迫害を受け続けるのだった。
スタッフ
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アニメーション制作
絵夢動画 -
原作
裟椤双樹 -
日本語吹き替え版制作
フジテレビジョン
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日本語吹き替え版演出
安藤直子 -
監督
董易 -
総作画監督
クォン·ウンギョン -
総演出監督
ソ·ギョンロク -
美術監督
イ·ボンリョル -
翻訳
林真子 -
脚本
春日幽鈴 -
録音·調整
吉本晋 -
音楽
薄彩生 -
音響制作
東北新社
キャスト
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柳公子
河西健吾 -
桃夭
東山奈央 -
磨牙(小坊主)
村瀬歩