石黒昇版のアニメ「銀河英雄伝説」を徹底解説!一番楽しく見る順番は?
田中芳樹さんの原作小説、銀河英雄伝説が1988年にアニメ映画化されました。アニメシリーズの人気は凄まじく、本編、外伝など2000年まで発売が続きました。
このシリーズは、主に監督を石黒昇さんが行った事から、石黒昇版の銀河英雄伝説と言われています。その後もこの人気を継承するべく、2018年には再アニメ化として「ノイエ銀英伝」が始まっています。
どちらを見るか悩んでいる人もいますが、アニメ銀河英雄伝説を心から楽しむためには、やはり最初の石黒昇版を見るのが一番です。ですが、映画版、OVA本伝、OVA外伝と、どこから見たら良いのか分からない人も多いですよね。
今回は、一番楽しく見る順番と解説をします。
一番楽しく見る順番は?
見る順番は誰でも悩みます。完結している物なら時系列が良い?いや、制作者の意図を読むならリリース順で見るのが正しい?それぞれ悩むところです。
まずは、その2つの順番を整理しましょう。
1.リリース順にみる
- 映画「わが征くは星の大海」
- OVA 銀河英雄伝説本伝 第1期(全26話)
- OVA 銀河英雄伝説本伝 第2期(全28話)
- OVA 銀河英雄伝説本伝 第3期(全32話)
- OVA 銀河英雄伝説本伝 第4期(全24話)
- OVA 「黄金の翼」映画 「新たなる戦いの序曲」
- OVA 外伝 第1期(全24話)
- OVA 外伝 第2期(全28話)
2.時系列順に見る
- OVA 外伝 第2期 「螺旋迷宮」(全14話)
- OVA 外伝 第1期 「白銀の谷」(全4話)
- OVA 外伝 第2期 「叛乱者」(全4話)
- OVA 外伝 第2期 「決闘者」(全4話)
- OVA 「黄金の翼」
- OVA 外伝 第2期 「奪還者」(全4話)
- OVA 外伝 第1期 「朝の夢、夜の歌」(全4話)
- OVA 外伝 第1期 「千億の星、千億の光」(全12話)
- OVA 外伝 第2期 「第三次ティアマト会戦」(全2話)
- 映画「わが征くは星の大海」
- OVA 外伝 第1期 「汚名」(全4話)
- 映画 「新たなる戦いの序曲」
- OVA 銀河英雄伝説本伝 第1期(全26話)
- OVA 銀河英雄伝説本伝 第2期(全28話)
- OVA 銀河英雄伝説本伝 第3期(全32話)
- OVA 銀河英雄伝説本伝 第4期(全24話)
一番楽しく見る順番は?
おススメなのは、リリース順、時系列順の2種類ではありません。
最初は、リリース順に映画「わが征くは星の大海」を見ます。
次に「銀河英雄伝説本伝 第1期」の第3話まで見たら、映画「新たなる戦いの序曲」を見ます。
この二つ、実は同じ内容を重複しているのですが、映画の方が内容が多く後から見た方がより楽しめます。
その後、本伝の続きを完結の4期まで見たら、外伝を見ましょう。外伝は基本的に時系列順で見るのがおススメです。
では、その順番に解説していきます。
楽しく見る順に解説!
①映画「わが征くは星の大海」
銀河英雄伝説最初のアニメ化作品の映画です。この作品で、主人公のラインハルト・フォン・ミューゼルとヤン・ウェンリーがお互いの存在を意識します。戦闘中に流れるボレロの音楽がとても印象に残る作品です。
②OVA 銀河英雄伝説本伝 第1期(1話~3話)
③映画 「新たなる戦いの序曲」
この②と③は基本的に内容が同じです。但し「新たなる戦いの序曲」の方が、後に作られた映画版なのでより深い内容になっています。ちなみに、映画だけを見て1期の1話〜3話を見なくてもストーリー上、なんの問題もありません。
アスターテ会戦が一番の見せ場ですが、ヤンの親友でもあるジャン・ロベール・ラップも忘れる事ができません。
④OVA 銀河英雄伝説本伝 第1期(4話~26話)
ラインハルトはアスターテ会戦の功績で帝国元帥となり、帝国国内での権力争いが始まります。ヤンは自由惑星同盟軍で、第13艦隊の司令官となりイゼルローン要塞の攻略をします。
第1期の一番の見せ場はアムリッツァ星域会戦です。ラインハルトの罠にはまった同盟軍が圧倒的に不利な状況の中で、ヤンの第13艦隊が仲間の艦隊を逃がすために奮闘します。そして、アムリッツァの後、両国とも内戦に入りますが、どちらも悲しい結末がまっています。
⑤OVA 銀河英雄伝説本伝 第2期(全28話)
ヤンは帝国と同盟の間にあるイゼルローン要塞の司令官です。ラインハルトは内戦の結果、帝国内での権力者になっています。
見せ場は、帝国がイゼルローン要塞攻略のために、自国内のガイエスブルグ要塞をワープさせて侵攻するところ、しかもその時ヤンは要塞に不在、その状態で要塞砲どうしの打ち合いが始まります。
次の見どころは、帝国軍がフェザーン回廊側から同盟領に侵攻してくる「ラグナロック作戦」です。圧倒的な数の帝国軍に対して、同盟軍はアムリッツァの大敗で戦力が残されてません。その中でヤンの第13艦隊がラインハルトを追い詰めます。
⑥OVA 銀河英雄伝説本伝 第3期(全32話)
自由惑星同盟は降伏しました。イゼルローン要塞は帝国に返還、ヤンは軍を退役して結婚、ハイネセンで新婚生活を始めます。ラインハルトは帝国を奪い、自分自身がローエングラム朝、銀河帝国初代皇帝となりました。
平和が訪れるかと思いましたが、ラインハルトを倒せる知略をもつヤン・ウェンリーを同盟の権力者たちは放っておきません。ラインハルトの知らないところで、ヤンは同盟内部で処理されそうになりますが、ヤンを救出するために昔の仲間たちが大騒ぎを起こします。結果、ヤンは仲間たちと共にハイネセンを脱出、イゼルローン要塞を再奪取します。こうなってはラインハルトも捨て置けず、再びラグナロック作戦を行います。
最初の見せ場は同盟軍の最後の戦い「マル・アデッタ星域の会戦」であり、次は銀河英雄伝説最大の見せ場である「回廊の戦い」です。相変わらず圧倒的な物量で押してくるラインハルトに対して、少数で対等に戦うヤン艦隊との激闘は、文章では語りつくせません。
⑦OVA 銀河英雄伝説本伝 第4期(全24話)
ヤン亡き後、自由惑星同盟は滅び、帝国のノイエラント(新領土)となります。唯一、帝国勢力の外にあるのが、ヤンの命の代償とも言えるイゼルローン要塞(イゼルローン共和政府)です。
本伝4期の最後の戦いの見せ場は2つ、1つは「ロイエンタール元帥反逆事件」から端を発する「帝国の双璧」と言われるオスカー・フォン・ロイエンタールとウォルフガング・ミッターマイヤーとの間で行われた「双璧の争覇戦」です。
そして、最後の戦いとなる「シヴァ星域会戦」です。ヤン亡き後、この艦隊を率いるのは、ヤンの養子であるユリアン・ミンツ。彼の才能は、ヤンに比べられるものではありませんが、周りにはヤンの戦友たちがいました。彼らと共に、最後の戦いに突入するのです。
⑧OVA 外伝 第2期 「螺旋迷宮」(全14話)
ここからは基本的に本伝以前の外伝となります。本伝を見終わった後に見ると考え深い物がありますので、この順番がおススメです。
最初は、ヤン・ウェンリーが「エル・ファシルの英雄」となった話があります。見せ場は、ヤンが調査する事になる件と、それに伴って解説される英雄ブルース・アッシュビーと「第二次ティアマト会戦記」です。どちらかと言うと、ヤンの推理探偵要素が多い回ですが、ヤンの若かりし頃の才能を楽しむ事ができます。
⑨OVA 外伝 第1期 「白銀の谷」(全4話)
幼年学校を卒業したラインハルトとキルヒアイスの物語です。最初の赴任先は惑星カプチェランカ、極寒の環境にある前線基地。実は、ここの司令官のヘルダー大佐はラインハルトとは敵対する勢力から依頼を受け、二人を亡き者にしようと模索します。
とはいえ、ラインハルトはまだ若いとはいえ既に天才キャラが確立されているので、見事にヘルダー大佐の罠を打ち破ります。
⑩OVA 外伝 第2期 「叛乱者」(全4話)
中尉に昇進したラインハルトは、キルヒアイスと共に、駆逐艦ハーメルンⅡに航海長として乗り込みます。ここでラインハルトは一般兵たちとの交流を通して彼らの気持ちを知る事になります。それは、ラインハルトの心の成長のためには必要な事でした。
見どころは、上司や、階級が下の平民たちとの人間関係です。危機的状況に陥り、ハーメルンⅡは前線で孤立しますが、周りの一般兵たちと協力しながら危機を乗り越える事となるのです。
⑪OVA 外伝 第2期 「決闘者」(全4話)
昇進したラインハルトの次の配属先は、前線ではなく首都星オーディンでの「軍務省監察局」での官僚的な仕事でした。彼は見つけた不正を上司に報告しますが、上司は「必要悪」と受け付けてくれません。本来彼は前線にて軍功を上げて出世したい考えなので、このような軍務は毛嫌いしています。しかし、ここで彼は前線では学べない事を学びます。
この回で、彼はとある事情により「決闘」を行いますが、頭脳戦ではなく身体を使った戦いでも、ラインハルトは非凡な才能を見せる事となります。
ちなみに、この回には、将来ラインハルトの部下となる「コルネリアス・ルッツ」が登場します。
⑫OVA 「黄金の翼」
この作品は、道原かつみさん原作のコミックをアニメ化したもので、作画、声優などは異なっています。ですが、時系列上は問題ありません。序盤は、ラインハルトとキルヒアイスの幼い時代の回想など、本伝と似たシーンです。
この回では、ラインハルトは少佐、駆逐艦エルムラントⅡの艦長として「第5次イゼルローン要塞攻防戦」で戦果を上げたり、陰謀により暗殺されそうになったりと活躍します。
又、ラインハルトの部下となる「ヘルムート・レンネンカンプ」が上司として登場、ヤン・ウェンリーも同盟軍少佐で登場しています。
⑬OVA 外伝 第2期 「奪還者」(全4話)
中佐として、巡洋艦ヘーシュリッヒ・エンチェンの艦長となったラインハルトは、帝国の軍事機密を持って同盟に亡命しようとする貴族を捕らえるために、単艦で同盟領に潜入する密命をおびますが、ラインハルトの知略全開でピンチを潜り抜けます。最後に、任務に隠された本当の理由が暴かれる展開がたまりません。
この回にも、ラインハルトの部下になる「アウグスト・ザムエル・ワーレン」が副官として登場、「エルンスト・フォン・アイゼナッハ」と「ナイトハルト・ミュラー」も名前だけ出てきます。
⑭OVA 外伝 第1期 「朝の夢、夜の歌」(全4話)
ラインハルトは大佐になり憲兵隊へ出向しますが、、その過程で将来の部下となる「ウルリッヒ・ケスラー」を知る事になります。
この回は、推理小説のような展開です。自分たちが通った幼年学校で、殺人事件の調査を行いますが、見事な推理で事件を解決します。
⑮OVA 外伝 第1期 「千億の星、千億の光」(全12話)
この回では、「ヴァンフリート星域の会戦」「第六次イゼルローン攻防戦」と2つの戦いの中で、帝国側、同盟側両方で物語が進みます。
帝国側では、ラインハルトは准将から少将へと出世する活躍を見せ、その過程で将来の部下たち、「ウルリッヒ・ケスラー」「フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト」「カール・グスタフ・ケンプ」「ウォルフガング・ミッターマイヤー」「オスカー・フォン・ロイエンタール」「ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ」も登場します。
同盟側では「ローゼンリッター連隊」と「ワルター・フォン・シェーンコップ」が活躍します。
後半では、ヤンの知略を垣間見る事が出来ますが、シェーンコップの方が目立つ展開となってます。
⑯OVA 外伝 第2期 「第三次ティアマト会戦」(全2話)
この会戦で目立っているのはラインハルトではなく、同盟軍のホーランド中将ですが、残念キャラでしかありません。ラインハルトの活躍よりもホーランドの尻ぬぐいをする事になるビュコックとウランフの苦労が目立ちます。
ラインハルトは、この会戦での武功により大将になり、この後に映画「わが征くは星の大海」に続いて行く事になります。
⑰OVA 外伝 第1期 「汚名」(全4話)
実は時系列ですと、この「汚名」は映画「わが征くは星の大海」後の話となります。ではなぜ時系列順ではないのか?それはこの「汚名」の主人公が「ジークフリード・キルヒアイス」だからです。
銀河英雄伝説の主人公は、ラインハルトとヤンですが、三人目の主人公はキルヒアイスだと思っています。物語の中で、幾人もの人物が言います。「ジークフリート・キルヒアイスが生きていたら」
最後に、この回を見る事により、私たちは彼を思い出すことが出来るのです。
この戦いが熱いランキング!
1位:本伝76話~83話
ヤンとラインハルト、最後の「回廊の戦い」です。メインイベントと言ってよい熱い戦いが繰り広げられます。
2位:本伝67話・71話~72話
同盟軍最後の戦い「マルアデッタ星域の会戦」ですが、それに先立つ67話のビュコック夫妻のやり取りで涙腺が崩壊します。
3位:本伝15話~16話
とにかく熱い大規模艦隊戦が繰り広げられる「アムリッツァ星域会戦」です。
4位:本伝107話~108話
本伝最後の熱く、悲しい戦いです。
5位:本伝33話~34話
要塞砲対要塞砲の迫力ある攻防が繰り広げられます。
銀河英雄伝説の凄さとは?
銀河英雄伝説とは、見る人を感動させるだけではなく、使われているクラシック音楽でも心を揺さぶります。特に印象に深いのは、「アムリッツァ星域会戦」で流れたドヴォルザーク、映像、音楽とのバランスが最高です。
又、この作品は「銀河声優伝説」と言われるくらい、多くの声優さんが出演しており、既に亡くなられた多くの声優さんの声も懐かしく聞くことができます。出演している声優さんを調べてみるのも楽しいかもしれません。
そして、最後に「汚名」を見終わった後、あなたはまた最初から見たくなるはずです。そう、繰り返して見れば見るほど、銀河英雄伝説の感動が繰り返されるのですから。